第9話 田舎王子が転入生紹介される

翌日の初登校・・歩く道すがら人にジロジロみられてひそひそ話をされてる・・・・

そんな状況に戸惑いながらも何とか周りの視線を避け学校に到着すると転入生は別室だと引率の先生に会場内の一室に通された。

新入生の入学式が滞りなく進み、校長の挨拶へ進み最後に学校創設以来の転入生として自分が紹介される事になった。

俺は係りの先生の促されるまま、天幕裏を通り檀上横の袖まで進んだ・・・係りの先生の合図で檀上に向かい進む・・・


四葉「あの人が・・・」

三宗「私の・・・・」

五十嵐「未来の・・・・」

???「婚約者様・・・」


数人から其々の感情の入り混じった視線を向けられてる事に気付かないまま檀上の前に立つと前を向き皆に顔を向けた。

四葉、三宗、五十嵐「「「!?雅(くん)」」」

???「ようやく会えるのね・・・みーちゃん・・・・私の旦那様・・・」

4名の感情も会場のざわめきにかき消される。

女子生徒「ね、ねぇあれって・・・・昨日でたNEWの表紙の・・・一堂 雅じゃない?・・・」

ザワザワする会場を校長が「しずかに!」の一喝で静止させる、校長はこちらを向いて静かに頷き俺に自己紹介を促した。

「えーーこの度、東皇高に転入しました、2年の一堂 雅です、田舎から出てきたばかりで、まだこの街の環境に馴れてませんが、これから皆さんと一緒に学び、助け合い成長してまいりたいと思います、どうか皆さん仲良くしてください!」

そう檀上から前に出て生徒に向かいお辞儀をして顔を上げ軽く微笑んだら数名の女子生徒が同時に倒れてしまった。

女生徒の異常に気付いた先生が慌てて倒れた女子生徒を担いで連れ出す。

(??今日は熱中症になる人が多いな・・・顔も赤かったし・・・・・)


俺は、連れ出される生徒が少し気になったが校長をみると若干苦笑いしながら頷いていたので、もう一度生徒皆にお辞儀して檀上から下がった。

2年生の教室へ行くように促され校舎2Fへ向かう階段の踊り場や廊下は生徒であふれていた、俺は大勢の同級生に見られ緊張しながらも愛想笑いで膝が震えるのをごまかした。


転入生が珍しからって注目されすぎでしょ・・・・


しかし、その状況を面白く思わない人も存在する。

群衆男「はっ、なんだよ?大した事ないじゃん・・盛りすぎw」

群衆男「そそ、チヤホヤされて調子のってんじゃねーーよ、ダッサw」

群衆女【ちょっと!男子、雅様になに向かって何いってんの!私達絶対許さないんだから!今言った奴出てきなさい!」

群衆男「なんだよw結局顔かよ!お前らこそ騒ぎすぎなんだよwちょっと雑誌に載ったくらいで!!」

群衆女【モテない男のただのやっかみ!みっともないよ!】


俺の事で揉めてるようだ、自分のせいで生徒たちが仲たがいしてる姿に胸が痛み申し訳なく思いうつむいてしまう。

そんな時群衆の奥から声がした。

「あなたたち!いい加減にしなさい!ここは通路なのよ!東皇高生として節度ある行動をしなさい!」

「みなさん、ここは生徒会と風紀委員が仕切ります!今すぐ解散し自分たちの教室に戻ってください!」


その声に群衆が左右に割れた。


「初日から揉めてるね、雅くん後で色々話を聞かせてもらわないとねー」

「お久しぶりですね、雅君ご無沙汰してます」


現れたのは、それぞれ「生徒会」「風紀委員」の腕章をした三宗 恵美と五十嵐 凛だった。


「そうか、三宗さんも五十嵐さんも二人ともここの生徒だったね、助けていただきありがとうございます」

そう告げ、頭を下げた。


「・・・は?」

「むぅ・・・」


二人は露骨に機嫌が悪くなった。

「・・・・凛」

「恵美って呼んでって言いましたよね!」

確かにそうは言っていたがこの場は他の大勢の生徒もいるし・・・

「え・・・えぇ・・でも皆さん見てますし・・名前で呼ぶのは・・・どうかと・・」

「「そんなの関係ない(有りません)!名前でよんで(ください)って言ったよね!」」

二人からの圧に怯んでしまった


「はぃ・・・判りました、凛さん恵美さんありがとうございました・・」


もう一度二人に頭をさげお礼を言った。

「いえ、生徒会として生徒に規律を守る様に指導するのは当然の事です、お気になさらずに」

「こういう場面は風紀委員の出番だし、気にしないでくれ」

群衆【え?なに・・あの二人・・・雅様と知り合いなの?・・・うそ】

群衆【恵美様と凛様が・・・・・悪夢だーー!】

今度は回りから男女様々な悲鳴が聞こえてきた。


その声の後ろから


「ちょっと、あんたら二人が余計に混乱させてんじゃない」

その声のほうの群衆も割れて現れたのは彩羽先輩だった。


「え?彩羽先輩???先輩も東皇高の生徒だったんですか?!」

俺の驚いた様子に少しご満悦だったが、先輩呼びに対し慌てて否定した。

「ちょっと!ここは学校なの!あんたとは同学年なの、先輩呼びは此処では禁止よ!普通に彩羽と呼びなさい!」


なんと彩羽先輩もこの学校の生徒だった、彩羽の登場に呆気にとられてる二人は我にかえると彩羽に詰め寄った。


「ちょっと、四葉さん雅君とずいぶん親しいようだねぇ?」

「そうです!どういうご関係ですか?!」

二人の強引な詰め寄り方に溜息交じりの彩羽は

「ねぇアンタたちが騒いでどうするのよ・・・たく・・私と雅は【【名前呼び捨て!?】】芸能プロで同じ事務所の先輩後輩の関係なの」

そう仕事上の知り合いであることを二人に説明してくれた、仕事での付き合いという事実を知りほっとしている二人に対し四葉はニヤリと笑い

「でも私、雅の住んでるところに送っていったり一緒に食事にいったりあと、個人的な悩みとか色々な相談をする、ちょっと深い関係なのよ?」

これ内緒ね?とウインクして見せたが、二人からは怒りのオーラが立ち上り今度は俺の方に矛先が向いた。

まわりからは、[なんだ!彩羽ちゃんとも知り合いって!もう俺たちの青春は終わりだ!]と悲鳴が聞こえる。

「雅君!どういう事かな?家に送ってもらうとか!」

「そうです!私たちのお誘いは断っておいて四葉さんとは食事に行くとか!ずるいです!不公平です!」


二人の猛攻に周りの生徒も静まりかえった。

そんな中、急に俺の背中になにかか覆いかぶさった。

???「みーちゃん!ーー会いたかったよーーーー!」

そう言いながら俺の背中にダイブした何者かを振り返り確認すると

【ちゅw】

三宗・四葉・五十嵐「「「ああああああっ!」」」

群衆「えええええええ」

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