第8話 田舎王子と四葉 彩羽
彩羽自己回想続き
突然の話で混乱する私に追い打ちのような話が続く
「お前の婚約者は1名だが彼には他に6名の婚約者が居る・・つまり1人の男性に6人の女性だ。」
時代錯誤も甚だしい、いつの時代の話なのか?このような話を真面目に私に伝える父もだが話の中の婚約者という男はロクでも無いと激しい嫌悪を覚えた。
「え?ますますわからない?どういう事?なんでそんな事になるの?私いやよそんな・・婚約者が複数居る相手なんて!おかしいよそんなの!ねぇママなんか言ってよ!」
母は私の事を悲しい目で見ながらそっと視線を外して悔しそうにしながら告げる
「彩羽・・・良く聞きなさい・・これは四葉家と他の6家との争奪戦なのよ・・・・」
「争奪?なにどういう事?なんで私が争わないといけないの?絶対に嫌よ私!」
そう強く拒否すると泣きそうになる顔を両手で覆った。
「彩羽!これはもう決まってる事なんだ!その婚約者の妻になる事がお前の・・いや四葉の悲願だ!口答えは許さん!お前はその婚約者と添い遂げる為に全力を尽くせ!」
これで話は終わりと、父と母は振り返りもせず部屋を出て行った。
いつも優しい父親、厳しい中にも愛情の溢れた母親、常に私の事を考えてくれてた両親への信頼が崩れそうだった。
応接に残された私は、その場で泣き崩れこの日初めて四葉の家に生まれた事を後悔した。
その後、習い事も勉強も身が入らず、一人で街を歩いていると綺麗な女性に芸能事務所にスカウトされた、当然両親には内緒にしたいので日雇いアルバイトとしてモデル活動を始めた。
しかし、そのことはすぐに両親の知る所になり、私は両親から怒られたが、この時は私も黙っていなかった。
「どうせ顔も知らない誰かの所に嫁ぐ事になるんだから、せめて学生の間だけでも私のしたい事させてよ!!」
初めて両親に反抗した、何度かの言い合いの末両親は根負けし異性との交流禁止もちろん交際なんか厳禁との条件で事務所との契約書にしぶしぶサインした。
私は、自分の未来に絶望しながらも今自分が輝けるこのステージが楽しかった、仕事を頑張る内に徐々に人気が出てきて学校でも話題になり雑誌は勿論テレビにも出る様になってきた。
当然、私に告白してくる人も後を絶たないが、どうせ私の未来は決まってるからと恋愛という青春イベントを封印して、すべてお断りした。
そんな中、竜崎さんのスタジオでの撮影打ち合わせしてるとスタジオの外で一人の男の子に出会った。
彼は一目みたときからその漂うオーラが他と全く違うと感じた彼の事を一目で好きになった、私もそれなりに売れてるというプライドもあったが彼は私の事を知らないどころか、女性として興味ももってなさそうだった。
彼と少し話をしてみたら、どうも私と同じ事務所に入ったばかりだという、しかし鳳プロは女性モデルの専用事務所で認知されており社員も女性でほとんど構成されている、そういう事務所だからパパは契約書にサインをしてくれたのだ。
そこに男性モデルが入ってきた・・・パパが知ったら直ぐに事務所を辞めさせられるかもしれない、父には彼の事を知れてはダメだと思った。
私は彼に苗字の四葉の名前で呼ばれる事を嫌だからともっともらしい言い訳で四葉との関わりを遠ざける事にした、その上で自分を名前で呼ぶように伝えた、彼から名前で呼ばれると少し恥ずかしい気もしたが悪くは無かった。
なにより、自分も自然と名前で呼べるのでそれも嬉しかった。
彼はお近づきと言ってジュースをくれた少し話をしたあと、彼を呼ぶスタッフの声がしたどうも私も交えての食事に茜さんが誘ってくれたようだ、私は雅に声をかけたが何やら考え込んで反応が無かった。
私は悪戯心で彼の耳元まで近づき声を掛けた、ようやく気付いてくれた雅の驚いた顔もまた素敵だった。
食事会では、他の女性スタッフ(特に衣装着付け、メイク、ヘアセットの3人)に雅の周りを陣取られ雅の事を聞くができなかった。
(同じ仕事をしてるなら又雅と話を出来る機会もあるからその時は・・・私の気持ちを少し・・・)
そんな雅を気にしながら仕事と生活を続けてるある日、私は再びパパに呼ばれた
(もしかしたら、雅の事がバレたとか!?私の接触が見つかったの?)
しかしそれは検討違いの思い過ごしで、父からの言葉はさらに衝撃的な事だった。
「彩羽、お前の婚約者が東皇高に転入してくる」
急な話で、身構える私学生の間だけはと婚約者の事は出来るだけ考えないようにしてきた私には恐怖でしかなかった。
「え?転入?そんな・・・そもそも!転入なんて出来るのですか?私たちの学校って?」
そう焦る私のどうでもいい様なしつもんに父も少し溜息交じりにこ答える。
「普通は出来ないだろうな、あそこは私もそうだが日本の財界、政界の子息が通う名門学校だ普通の人では入学すら出来ない、しかも転入試験はT大学最高レベルの超難問だ」
それも95点以上でないと不合格という実質お断り試験なのだと言う
「ま、まさか!パパたちが汚い方法でその人を学校に入れる様に手配すいたの?!なんて汚い!日々真面目に頑張ってる他の生徒に対する侮辱よ!」
憤る気持ちを抑えられず父に激しく詰め寄った。
「勘違いするな彼は、東皇高だけでなく西王学の転入試験も同時に受けてどちらの転入試験の結果も満点だったと聞く」
彩羽は言葉を失った・・・自分の婚約者(予定)は途方もない天才で近日中に自分の身近な学校という空間に転入してくるという彩羽にとって学生の間だけの事由な生活を脅かす事態だそれに彩羽にすでに・・・
「彩羽、悠長にしている場合ではない、学園には他に3名の候補がいるのだその者たちから彼を勝ち取る必要がある、これはお前にしか出来ない事だ」
これまた衝撃だ・・・彩羽以外の他の婚約者候補が同じ高校に3名もいるらしい・・・しかしこれは彩羽にとってチャンスかもしれない
その他の婚約者候補がその天才の婚約者(予定)の目に留まれば自分は候補から外れる・・・そしてそうなれば・・・想いを寄せる彼と・・
彩羽の中で、良からぬ負の感情が芽生え始めた・・彩羽にとっては家の事よりも・・・今は彼・・・の事が・・と比重を傾かせている、しかしその天秤を傾ける重要な事を聞かされた。
「もし四葉が敗れるような事になれば・・・四葉の立場が悪くなり沢山の物を失う可能性もある、そうなればグループで働く数万の社員、数十万の家族が路頭に迷う事になるかもしれない、これは負けられないのだよ」
重すぎる自分の婚約という事実に彩羽は動揺したさっきまで邪な考えが甘すぎた事、四葉に生まれた者の重責にめまいがしそうだ。
そんな中今こうして彼、雅と車中で自分語りをしている、雅に関する気持ちの部分は省いてかいつまんで説明した、自分には婚約者がおりその婚約者を他の候補と戦い勝ち取らないといけない事その婚約者がちかじか自分の学校に来る事
そんな自分の境遇を仕方ないと諦めていること、でも今の自分には気になる人が居る事などをかいつまんで説明した。
「彩羽先輩、先輩は四葉の家の娘ですがその前にひとりの人間です、自分の気持ちに正直に生きてください僕にはわかりませんが気になる方を諦めるのは彩羽先輩の為になるとは思えません、今の先輩の気持ちを素直にご両親に打ち明けるべきです!」
そう私の方をむいて真面目に答えてくれたそんな彼がやっぱり好きだ、彼自身は自分の事とは思ってないようだ。
「ありがとう雅、わたし近いうちにもう一度パパと話をしてみる、ちゃんと自分の気持ちを」
そう伝えてすぐに、彼の住む寮に到着した彼は私に何度もお礼をいって部屋に入っていった。
ふと気になって確認したが明かりがついた部屋は1部屋だけで他の6部屋は暗いままだった。
(まぁ新築ぽいからそのうち住人も集まるでしょう・・・・へんな事きにしてる場合じゃないわねキチンとパパと話をしなきゃ・・・そういや入学式の日は夜なら時間空いてるって聞いたな早速パパに時間取ってもらわなきゃ・・)
私は、家にかえると父の執事に時間の調整をしてもらえるように言づけた、その日のうちに父からの返事が了解したと返ってきた。
雅自身から背中おしてもらったんだから、今度は私が気持ちをパパに伝える番ね、ちゃんと伝えてすべての障害がなくなったあかつきには、雅に私の気持ちを・・・・
そして入学式の前日の日、SNSからネットニュースからテレビのニュースまで騒然となっていた。
理由は新刊のNEW4月号・・・・彼が時の人になる前触れだった・・・・・
その日の雅・・・
雅は最近買った小説に夢中だった忙しく全然読めなかった本を一日中読み漁っていた田舎にいたときの役場の本棚は論文や文学しか取り扱って無くすべて読みつくして紋々としていたが都会に出て【ラノベ】に出会ってしまった。
中身は、有りえない話で死んで転生とかゲームの世界に入るとか最初はその詐欺ぽい内容に半分くらいで読むのを止めていたが時間が出来て最後まで読むとその続きが気になり気付いたらハマってしまい結局全15巻一気に購入してしまった・
リビングで寛ぐ雅を道っから何回もチラチラ見るおさげの眼鏡女子高生が居たその手には4月号NEWが抱きしめてあった。
そんなことに全く気付かない雅の優雅な一日は終わった・・・誤操作したスマホが機内モードになっていた事を後日、茜に烈火の如く怒られるがこの時はまだその地獄の未来を知らない・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます