50
1年後。
あの事件で田上は死んだ。
水川は正当防衛として起訴される事なく無事に実家に帰る事ができた。今は、保険会社の事務員をしている。とても雰囲気が良い職場だ。最初のうちはアルバイトから入ったが、3ヶ月で社員になる事ができた。そして、今は幸せに暮らしている。
だが、周りに不幸が続いている。入社してから2ヶ月後に同僚の一人が事故で死亡、3ヶ月後、父が心筋梗塞で死亡。5ヶ月後、母が脳溢血で死亡。他にも、同僚、知り合い、が次々と死んでいった。すでに10人近くが死んでいた。
だが、水川は幸せだった。事件以来、一人でいるのが一番だと思い知らされた。
そろそろ、仕事の時間だ。水川は2階にある自分の部屋に向かいスーツに着替えた。それから、棚に飾ってある箱を抱きしめた。今日も幸せな1日になりますようにと願いながら。
事件後、箱はなぜだか水川の部屋に現れた。最初は気持ち悪かったが、今ではとてつもなく大切な宝物だ。これがなければ私は生きていられないだろうと思った。
ダマスカスの箱 駄伝 平 @ian_curtis_mayfield
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます