48
今日は田上が夕食を作る番だった。今日は、田上が腕を振るいラザニアを作った。ラザニアは、小さな耐熱性のガラスの容器に2つ。田上の分と、水川の分だ。
「いただきます」というと田上と水川はラザニアを食べた。ラザニアの味はまあまあだった。
水川は、田上に聞こうか迷っていた。もし、彼が犯人だったら?そう思って、尻ポケットにスイスアーミーナイフを忍ばせていた。
「おいしい?」
「うん、美味しい」
「なんだか、元気がないみたいだけど、何かあったの?」
「ううん、別に」
「そう」と田上がいうとラザニアを美味しそうに食べた。
水川は、勇気を振り絞り聞くことにした。
「ねえ、シンレイ研究会のことだけど」
「うん、なに?」
「実は、食器棚の下に霧島さんのイヤリングを見つけたの」
「そうなのか。きっと忘れていったのだろう」
「それと、今日ね。部屋で、箱を見つけたの。ねえ、何か知っているのでしょ?話してくれない?」
「見つけちゃったのか」と田上がいうと、真顔で水川の目を見た。
「ねえ、どういうこと?」
「彼らは死んだよ」
「え?どうして」
「僕にも最初は分からなかった。でも、これは全て箱のおかげなのだよ」
「ねえ、いったい何を言っているの?」
「全ては箱のおかげさ。僕の代わりに箱が全て導いてくれた。箱が僕に危害を加える者を排除してくれた。箱のお陰だよ。君と出会えたのも」
「ねえ、あなたがシンレイ研究会の人たちを殺したの?」
「そうだよ。箱に導かれてするしかなかった。僕だって最初は驚いたさ。でも、そうするしか他に方法はなかった。箱が能力を失うと、僕の幸福が全て失われる」
「ねえ、あなた正気?」
「正気だよ。ねえ、由香。今日はなんの日だと思う?」
「いったい、何を言っているの?」
「僕たちが、永遠に幸せになる日だよ」
「永遠ってどういうことよ」
水川は急に、睡魔に襲われた。そして、体の自由が効かなくなった。
「ねえ、一体何をしたの?」と水川は呂律の回らない言葉でいった。
「ねえ、由香、これで僕たち永遠に幸せになれるよ」
水川には、視界が回転したかの様に見えた。まるで、メリーゴーランドに乗っているかの様だ。そして、そのまま意識が飛んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます