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水川と田上は寝室にいて、田上がMacBookで、水川はiPadでフリマサイトとオークションサイトで落札された商品をチェックしている時のことだった。チャイムが鳴った。
「誰かしら?」
「さあね。誰だろう」というと、椅子から立ち上がり田上は玄関へ向かった。
水川は視線をiPadに戻し客にお礼のメッセージを打った。すると、玄関口から会話が聞こえて来た。
「私は日野署の北山です」
「同じく日野署の竹下です」
水川は驚いた。警察だ。警察が何をしに来たのだろうか?もしかして、田上が不正転売でも行なったのかと思った。
「なんのようですか?」と田上。
「実はですね、シンレイ研究会というYouTuberをご存知ですよね?」
「はい、先日お世話になりました。何かあったのですか?」
「それが、その、シンレイ研究会のメンバーの、霧島さん、竹内さん、藤本さんと連絡が取れないと、親族から失踪届けが出ていまして。それで、最後にこちらのお宅で撮影をしていたと聞きまして。何か思い当たることはありませんか?」
「ありません。そうだ、ここを出るときに確か次の現場があると言っていました」
「そうですか。次の現場について何か言っていませんでしたか?」
「いいえ、特には」
「そうでしたか。わかりました。ご協力を感謝します。それでは失礼します」と、警官がいうとドアが閉まる音が聞こえた。
部屋に戻ってくる田上。
「ねえ、シンレイ研究会の人たち失踪したの?」
「さあね。多分、次の現場が忙しくて連絡が取れないだけじゃないかな」
「それにしては、おかしくない?失踪届けが出ているなんて。もしかして、箱のせいで何かあったのかもしれない」
「考えすぎだよ。ちゃんと箱を供養したのだから。きっと、次の現場が忙しいだけさ」
「そうならいいけど」
水川は不安を抱いた。もしかすると、あの箱のせいで3人とも死んでいるのではないかと。そのせいで、既読がつかないのかもしれない。
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