36
深夜3時頃。
神主の大岩は、神社の境内の社務所兼自宅で寝ていた。冷房はタイマーが切れていて蒸し暑く、大岩の肌に汗が噴き出ていた。
大岩は夢を見ていた。それは、赤、青、黄色の光が彼の回りを回転している夢だった。
大岩は夢を見ている自覚があった。この夢の意味はなんだろうと色々と考えた。しかし、全く想像できない。
だが、これは神聖なモノなのか、それとも邪悪なのかわからなかった。すると、どんどん邪悪なオーラが増してきた。そして、思い出した。今日、箱を持ってきた客のオーラに似ていると。何かのメッセージに違いないと確信した。もう少し様子を見る事にした。すると赤、青、黄色の光が合体して、急に全体が今まで感じたことのない負のオーラに包まれた。
すると、急に暑いと感じた。ただの暑さではない。まるで、焚き火の近くにいる様な熱さだ。
大岩は目を覚ました。
すると、部屋中が火の海だった。家具は燃えてパチパチと音をたてていた。
大岩はパニックになった。一旦冷静になってから、今すぐにここから逃げなければと思い窓ガラスが視界に入った。窓ガラスを突き破って外に出ようと考えた。
しかし、炎はパジャマの右袖を焼くと火がパジャマ中に燃え広がった。
大岩は、熱さと痛さに耐えきれなくなり、そのまま床に倒れ込んだ。どうにかして火を消さなければと、体を床に押し付けて火を消そうとした。だが火は消えるどころか、さらに勢いを増した。
大岩の肺に熱い空気が入り込んできた。肺が燃えそうなくらい熱く痛みを伴った。
炎はポリエステル製のパジャマを燃やして溶かし、大岩の皮膚と混じり合う。皮膚はそのうち、熱さに耐えられなくなり、蝋燭のように溶け出し、筋肉を顕にし、それから黒く焦げ始めた。
肉を焼いた時とプラスチックを焼いた時の臭いとが同時に鼻を刺激した。
だが、臭いなど気にしている暇はない。どうにかして、外に出なければ。だが、あまりの痛さと暑さに悶絶した。普通なら気を失いそうなものだが、頭は冴えていた。そして、強烈な痛みが大岩を襲った。
大岩はどうすることも出来ずに燃えている畳の上でじっくりと焼かれて行く。もう、抗えないと悟った大岩は諦めた。
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