29
次の日。いつもより早く、4時30分に田上は起きた。
田上は、まず順番に調べようと考えた。まずは、佐藤について調べることにした。
とりあえず、MacBookを開いてChromeを立ち上げた。そして、佐藤のTwitterのアカウントにアクセスした。観た海外ドラマのことや、音楽についてのツイートがほとんどでプライベートなことは特に書かれていなかった。
次に、Facebookのアカウントにアクセスした。投稿は少なかった。最後の更新は仕事でトルコに出張した時のことが写真付きで投稿していた。画面の端にコミュニティー欄があった。コミュニティーには佐藤が所属していた会社の鈴木商事のコミュニティーがあったのでアクセスしてみた。すると、10人近くが登録していた。
田上はこの中から誰か話を聞けるかもしれないと思った。とりあえず文章を考えてコミュニティーにいる人たちにメッセージを一斉送信した。
『突然すみません。初めまして。私、佐藤氏の友人の田上という者です。現在、佐藤氏の自殺の原因について調べています。もし、心当たりがある方がいらっしゃいましたら、是非、お話を聞かせて頂けないでしょうか?よろしくお願いします』
我ながら酷い文章だと送ってから気づいた。
「どうしたの、こんな早くに。仕事?」と水川が起きて後ろに立っていた。
「いや、ちょっと調べ物」
「お父さんが亡くなったばかりだから少し休んだら?」
「うん、分かっているよ」
水川はMacBookの画面を見た。
「Facebookで何をやっているの?それに、この文章は何?」と水川は驚いた様子で言った。
田上は水川に、このことを話そうか迷った。明らかに狂っているとしか思われないからだ。だが、田上は正直に話すことにした。
「実は、最近、俺の周りで亡くなる人が多いでしょ?それが、どうしても気になって。多分、偶然だと思うけど。どうも気持ち悪くて。それで調べたら少しは気分が楽になるかと思って」
「そうなの。可哀想に。気持ちはわかるは。でも、きっと偶然よ」
「そうだよね。なんだか疲れているみたいだ。明らかに狂った行動をしている」
「そんなことはないは。人は悪いことが続くと全てつながっているように思ってしまうものなの」
「そうだよね。きっと」
「ねえ、私も手伝ってあげようか?」
「え、本当?」
「うん、それで雅人の気分が楽になるなら手伝うよ」
「ありがとう」
二人はキスをした。そして、そのまま、パジャマを脱ぎ、裸になってベッドに倒れ込んだ。
田上が再び目を覚ましたのは10時のことだった。
隣で下着姿の水川が寝ていた。肌が汗ばんでいた。
気温はおそらく30度は超えているだろう。
田上はタオルケットを水川にかけて、冷房をつけた。部屋の中が涼しくなった。
iPhoneを手に取ると、ここ三日分のフリマアプリで売れた商品を確認する。配送しなければと、ベッドから立ち上がって、4・5畳の部屋に入る。プライマル・スクリームのCDセット、デビッド・ボウイとNASのレコード、ラブクラフトと太宰治の書籍、フェンダージャパンのストラトキャスターのギターを取り出し、梱包を始めた。
すると、iPhoneの通知が鳴った。次は何が売れたのか?と画面を確認すると、Facebookのメッセージの通知だった。
iPhoneでFacebookのアプリを立ち上げた。すると、秋元克弘という人物からのメッセージだった。メッセージを開く田上。
『田上様。メッセージありがとうございます。私は佐藤さんの後輩だった秋元克弘という者です。佐藤さんには良くしてもらいました。色々と思うことがあるので直接会いませんか?』
田上は、すぐに返信をした。
すると、返信は直ぐに帰ってきた。今日の19時の新宿の歌舞伎町にあるドトールコーヒーで会う事になった。
田上は秋元のメッセージの『色々と思うところがありまして』という文言が気になった。いったい佐藤に何があったというのだろう?考えすぎかもしれないが、もしかして、自分と似た様な事に巻き込まれていたのかもしれない。
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