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 田上は古物市場の帰りだった。

 軽トラの荷台には、今回の戦利品が多く積まれている。プラダのコート、パナソニックの洗濯機、シャープの42インチの4Kのテレビ、チェインソーマンの一番くじのフィギュア。スターウォーズのプラモデル一式。アイアンマンのフィギュア。どれも、いい値段で売れるに違いない。

 軽トラを運転していと、iPhoneからまた着信音が鳴った。妹の佳苗からだ。

 佳苗は、種違いの妹だ。たまにしか連絡しないが今日はこれで六回目の電話だ。運転中なので出られないため、そのままにしているが、六回も電話がかかってくるのは異常だ。

 前方にセブンイレブンを見つけた。

 田上は、車をセブンイレブンの駐車場に入れた。そして、電話を折り返した。

「どうした佳苗?何かあったのか?」

『大変よ。お父さんが死んだ』と電話越しで佳苗が泣いているのがわかった。田上は驚いた。

「なんだって、それは本当か?」

『うん』

「なんでそんなことになったんだ?」

『ガス漏れが原因よ』

「ガス漏れ?」

『そう、ガス漏れ』

「それで、母さんはどうしている?」

『お母さんは放心状態よ」

「そうか・・・」

 田上は言葉を失った。

『それで、今から、こっちに来られる?』

「すこし、仕事を肩付けてからいくから、3時間ほどかかるよ』

『そう、気をつけてきてね』というと電話が切れた。

 田上は、しばらく車中で呆然とし、それからタバコの火をつけた。一旦タバコの煙を深く吸って落ち着いた。

 いったい、何が起こっているのかわからなかった。これで、父を入れれば6人目だ。いったい、自分の周りで何が起こっているのだろう?


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