27
田上は古物市場の帰りだった。
軽トラの荷台には、今回の戦利品が多く積まれている。プラダのコート、パナソニックの洗濯機、シャープの42インチの4Kのテレビ、チェインソーマンの一番くじのフィギュア。スターウォーズのプラモデル一式。アイアンマンのフィギュア。どれも、いい値段で売れるに違いない。
軽トラを運転していと、iPhoneからまた着信音が鳴った。妹の佳苗からだ。
佳苗は、種違いの妹だ。たまにしか連絡しないが今日はこれで六回目の電話だ。運転中なので出られないため、そのままにしているが、六回も電話がかかってくるのは異常だ。
前方にセブンイレブンを見つけた。
田上は、車をセブンイレブンの駐車場に入れた。そして、電話を折り返した。
「どうした佳苗?何かあったのか?」
『大変よ。お父さんが死んだ』と電話越しで佳苗が泣いているのがわかった。田上は驚いた。
「なんだって、それは本当か?」
『うん』
「なんでそんなことになったんだ?」
『ガス漏れが原因よ』
「ガス漏れ?」
『そう、ガス漏れ』
「それで、母さんはどうしている?」
『お母さんは放心状態よ」
「そうか・・・」
田上は言葉を失った。
『それで、今から、こっちに来られる?』
「すこし、仕事を肩付けてからいくから、3時間ほどかかるよ』
『そう、気をつけてきてね』というと電話が切れた。
田上は、しばらく車中で呆然とし、それからタバコの火をつけた。一旦タバコの煙を深く吸って落ち着いた。
いったい、何が起こっているのかわからなかった。これで、父を入れれば6人目だ。いったい、自分の周りで何が起こっているのだろう?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます