第2話 王都異変
王都で怪異が頻発した。
まず、内務大臣が死んだ。文句なしの晴天の日に、雷に打たれて亡くなった。
次に、見回りに出た警察大臣が、死体で発見された。
それから、国王陛下の崩御。突然のことだった。
王族・要人の相次ぐ突然死に王都は騒然とした。
加えてその年は、気候の異常が相次いだ。豪雨、猛暑、そして作物の不作。
他にも、臭い汁をまき散らす虫が大量発生したとか、宮殿の屋根裏を黒い鼠の大軍が跋扈したとか、不吉な出来事が相次いだ。
新王アンリ陛下の即位式が賑々しく行われる傍らで、人々の心は暗い影に覆われていた。
王宮の祈祷師が占ったところ、一連の出来事は、とある人物の霊障であることがわかった。
ヴァーツァ・カルダンヌ公爵。
前年の戦いで戦死した陸軍司令官でもある。
彼は、新王アンリ陛下の御学友でもあった。
去年、西の国境に、蛮族が押し寄せて来た。王子だったアンリ自らが征伐に赴き、王子の盾となって、カルダンヌ公爵は戦死した。
一連の不吉な出来事は、ヴァーツァ・カルダンヌ公の霊障によるものだ、と王室祈祷師は喝破した。つまり、王都は死んだ英雄に呪われているのだ。
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