第3話
「皆大好き♡ 悪魔だお☆!」
白い歯を出してポーズを決める悪魔に、なんと突っ込んでよいやら……。
まさかっ_____!
「悪魔って、まさか! 首チョンパしにきたの!? 魂獲りに来たの!? あたし断頭台に上る前に死ぬの!?!?!?!?」
マリーはベッドの端に逃げ、なんとか悪魔と距離を取ろうとした。
すると悪魔は、プリングルをひたすらポリポリしながら
「あー……。
あったなぁ、そんなブーム。」
「ブーム!? 何その物騒なブーム!!!」
「イヤさ〜。
言ってみたらホントに人間がやっちゃうから〜
どこまでやれるか試してみたくなっちゃってぇ、でもぉ、動物の死体って臭いじゃん? しかも霊長類のお肉は固いし少ないし美味しくないしぃ。」
マリーはゾッとして尋ねた。
「に……人間食べたことあるってこと?」
「えぇ? だっていっぱい死んでるし、もったいないかなって肉が。」
さ、サイコじゃん!!
イヤ悪魔だからコレが普通なのか。
「す、少なくとも、あたしのこと食べに来たわけじゃないと?」
「えぇ~、もう人間とか食べないよぉ(不味いし)。
やっぱさぁ人間はこき使ってなんぼ?
多少頭が良いから色々作ったりするじゃん? 便利だよねぇ〜。」
こき使う……。
悪魔らしい発想だけど、それにしてもなんで黒人なの?
悪魔なんだから人種とか関係ないはずでしょ? この時代の黒人差別は苛烈だったはず……。逆のこき使われる立場になるんじゃ?
と、マリーが不思議に思っていると。
悪魔が答えた。
「だって、黒人だと奴隷だからどこへでも入っていけるんだもん。
身分不詳で一番怪しまれない立場だしぃ、貴族のマナーやルールなんか関係ないしねぇ。
好き勝手するならやっぱコレが一番だわ〜。」
「人の頭の中読めるの!?!?!?」
「契約してんだから当然でしょう?
はぁ〜( ´Д`)=3
人間は理解がトロいからダルいわぁ……。」
と、どこかから出してきたコーラをごくごく飲み始めた。
プハーっ!!
くっ!! コーラをうまそうに飲みやがって!!
このっ悪魔!!!
「あ、そうそう。契約内容の確認だけど……。
1、マリー·アントワネットの魂を生贄の体に植え付ける。
2、マリー·アントワネットの魂が行方不明だと神様に睨まれてヤッバいので、誤魔化し用の代替魂を生贄から引っこ抜く。
3、俺ちゃんの報酬は契約を依り代にして人間界で豪遊三昧する。
てな感じ?」
契約を依り代にして?
意味不すぎる。
「えーと、つまり、あなたは私の隣で好き勝手豪遊する……資金は……まさか、あたしが提供するの??」
「ん? 勝手に持っていくから心配いらないよ?」
居直り強盗!!!!!
これぞ居直り!! まさしく居直り!!!
「いやいやいや待ってよ!! 契約者の同意もなしに何勝手に決めてるわけ!?
ふざけないでよ!!!」
ほんと冗談じゃない!
フランス王国の財政は、アントワネットの嫁入り前からすでに逼迫しており、のっぴきならない状況だったはず……。
それなのに勝手に豪遊するってか!?!?
「マリーちゃん、なんか……勘違いしてない?」
「は?」
何が勘違いだっていうのよ!?
「自分、契約者じゃないからね?
い・け・に・え。生贄だから。契約内容についてあれこれ言えないの。解った?」
ていうことは……。
「私、あんたに好き勝手放題これから散財されるってこと???」
「あら〜マリーちゃん賢いわねぇ。正解!!」
タッタラー♪
パチパチと、謎の効果音付きで悪魔が拍手する。
「ざっけんなっ!! この悪魔っ!!」
マリーは手にしていた手鏡を悪魔に投げつけた。が……。
「ひ妃殿下! どどうぞお心をお鎮め下さい!」
と、それはそれはメイドに驚かれた。
いつの間にか悪魔は姿を消しており、投げた手鏡は柱に激突して割れたいた。
この後、その場にいたメイドがマリー·アントワネットは酷い癇癪持ちだと触れ回ったため、マリーは苦労する羽目になる。
そして、マリーはその日1日悩みのたうちまわった。
フランス王国財政は直ぐに手を打たねばならないほど深刻だったはず___。
しかも周囲は敵だらけ。
海を挟んでイギリス、隣はドイツ、その下はオーストラリアだ。
今はマリア·テレジアが存命だから直ぐ敵には回らないが……彼女が失脚したら_____。
あぁ!!!!!!
考えるだけで胃が痛い!!!!!!
先ずは……
えーと、何から手を付けるべき?
財政建て直し??
いや、まだルイ15世が存命だから本格的なテコ入れはまだできない!!
でも直ぐ取り掛からないと……革命に間に合わないかも……。
何か……何か……。
あ_____________!
いたな1人。ルイ15世に絶大な発言権があるヤツが。
ポン·パ·ドゥール!!
それだけじゃない!
貴族勢力を作り、影響力を急速につけられる。
問題は、彼女の寿命だけど___。
ポン·パ·ドール
彼女は結核により40歳ぐらいで亡くなる。
後何年時間が残されているのだろうか__?
しかし!! 私は次に公娼になる人物を知っている!!
デゥ·バリー
二人共早いうちから接点を作り味方に引き入れれば……。
ルイ15世に献言できる!
よしっ!!
なんかちょっとやれそうな気がしてきた!!
そうと決まれば行動あるのみ!!
マリーは早速、さっき追い返したばかりのノアイユ伯爵夫人を呼びつけた。
「妃殿下。1日も早いご回復をお祈り申し上げましたが__。」
「えぇ。だからもう回復したのよ! 良いことでしょう?」
マリーは夫人の言葉を遮り、いけしゃあしゃあと言った。
夫人は眉をピクつかせ、顔には
“こンの小娘ぇ〜~~!!!”
と、書かれいたが、どうでもいい。
「そんなことより、わたくし、ぜひにも_____。」
と、言いかけて、ハッと気がついた。
ここはヴェルサイユだ。
ヴェルサイユ宮殿____。
そこは、絢爛豪華でプライバシーゼロ空間。
当時のヴェルサイユ宮殿は、身なりさえ整えれば誰でも入ることができ、貴族であるならば王族のプライベート空間にも入れたのだ。
それだけではない。
使用人達の存在もある。と言うことは……
勿論、今喋る内容は宮殿中に筒抜け。
問題だ。大問題だ!!
ポンパドゥールには接触したい! でも
アイツがいる!!
王女アデライード!
高慢ちきすぎて行き遅れになった残念王女!
アイツはポンパドゥールと対立している!!
今、地盤が固めができてない私が表立って対立するのは、マズイ気がする……。
考え事をしながらフリーズする私に、ノワイユ伯爵夫人は困惑を隠せない。
その様子を、悪魔はコーラ片手に高みの見物をしていた。
「な~んだ。アデライードとキャットファイトしてるの見たいのにぃ……。マリーちゃんったら、思ったより慎重なのねぇ。」
マリーの答えは_____。
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