第16話魔王とスマホ
「くっそー、ベルベルの馬鹿馬鹿馬鹿チンコ! なんだよアレ、むっちゃ酷くない!? ウチ、ベルベルのこと心配してんのに……!」
あてがわれた貴賓室のベッドの上で、恋し浜のえるは枕に顔を埋めながら憤っていた。
一時間かけてバッチリセットした化粧もマスカラもぐちゃぐちゃになってしまうだろうが、そんなものは関係がない。
それよりも重要なことは――さっきのベルフェゴールの一言だ。
「何が赤の他人、差し出がましいこと言うな、だよ! ムカつく! なにを急に魔王っぽくなってんだよ、どうせ女の子と付き合ったこともないドーテーの癖に! ドーテーの癖にムカつく! だからドーテーなんだよ!」
ドーテードーテーと五回も繰り返したところで、のえるは横を向いて寝転んだ。
「……心配しちゃ悪いかよ。ウチの心配じゃベルベルには足りないの?」
それは自分の耳にすら、切ない響きに聞こえた。
思わず出てしまった乙女そのものの声に、何よりのえる本人が驚いた。
「あ……いや違うって! 違うし! ただこれは単に構ってもらえなかったからスネてるだけやし! 何を言ってはるんですかのえるさん……!!」
あー、うー! と身を捩って今の言葉を忘れようとするが、どうにもベルフェゴールの顔がチラついて離れてくれない。
ウチってこんなチョロい女だったん? 少し優しくしてもらったぐらいで頭から離れないとか……恋する乙女かよ。
そう考えると乙女よりムカつきの方が勝り、のえるは遂にはベッドにうつ伏せになって両の拳を握った。
「ちくしょー! 人を一方的に乙女にしやがって! こうなったら意地でもウチを無視できないようにしてやる! なにか方法は……!」
そうだ、この魔王城はどういうわけなのかベルフェゴールのツノのおかげで電波が入る。
ということはInstagramもできるしTikTokも見れるしLINEも繋がる。
こういうときは友だちに愚痴りまくって突破口を見つけるしかない。
どうやらあちらの世界とこちらの世界では時間の進み方が違うらしいが、そんなものは構っていられるか。
何しろ相手はあの魔王、人類の敵である男なのだ。
怒りに燃えてLINEの画面を開き、こういう相談に最もよく適応してくれそうな友だちを探す。
ゆかな……はこういうの口が軽いからNG、
そう思ってLINEの通話履歴を何気なく見ていたのえるは、ふと、見覚えのないアイコンがそこにひっそりと並んでいるのを発見して、目を丸くした。
「ん? なんじゃこれ? ……【魔王】?」
そう、黒一色で塗り潰されたアイコンに表示されている名前は【魔王】。
こんな妙な名前のを友だちに覚えはないし、なんとなく気色が悪い。
しばらくそのアイコンを見つめて……はっ、とのえるは思いついた。
そうだ、ベルフェゴールのツノは、何故なのかわからないが5Gに繋がっている。
まさかとは思うが……魔王って意外に、スマホに近い存在なのか?
ならばもしや、このアカウントって……。
少し迷ったが、何故なのかそうである確信があった。
のえるは付け爪に留意しながら画面をタップし、意を決して【魔王】を友だちに追加した――。
◆◆◆
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