第11話:初めてのダンジョン実習★
担任の松本先生引率で、ゾロゾロ出かける生徒50名。
学園の周囲は深い森で、あちこちに地下へ続く洞窟があるらしい。
学園を囲む森は、4つのエリアに分かれていた。
春・夏・秋・冬の季節がそれぞれのエリアに固定されていて、場所によって季節感がガラリと変わる。
今から向かうのは過ごしやすい気温の「春の森」。
春の森は初心者向きのエリアで、これから入る洞窟も初級の魔法で倒せる魔物しかいないという。
「初参加もいるから、トラップの無い初級ダンジョンにしておくぞ」
松本先生、洞窟の入口に着いたら初参加のイオを先頭に立たせたぞ。
道を知らない者を、何故先頭にするんだろうか?
意図が分からないイオも困惑気味だ。
「分かれ道になったら向かう通路を教えるから、どんどん進め」
「はぁ」
松本先生が後ろから言う。
気の無い返事をして、先頭を歩くイオ。
しばらく進むと、ゼリー状の動くモノがポヨンポヨン跳ねて来た。
あれは、スライムか?
なんか、特大わらび餅みたいだな。
「よーしイオ、そこで止まってろ。後ろのみんなは氷魔法準備!」
指示を出す松本先生。
ポヨンポヨン跳ねるスライムが、イオを取り囲んだ。
ポヨンポヨン、スカッ
ポヨンポーン、スカッ
ポポポポーン、スカッ
至近距離から体当たりしてるのに、全くイオに当たらない。
みんな微妙にハズレて、地面に転がる。
完全回避すげーな。
スライム100匹襲ってきても大丈夫ってやつだな。
ムキになって体当たりするスライム群。
あ~はいはい好きにしな~って感じで無防備に立つイオ。
全く緊迫感が無いぞ。
ここ、ダンジョンだろ?
それ、魔物だろ?
氷魔法が使える生徒たちが杖の先に魔法を溜めている。
俺は氷魔法が使えないので、とりあえず見学だ。
松本先生が、片手をサッと振って攻撃合図を出すと、一斉に氷の刃が飛んだ。
氷の刃がスライムに当たると、凍結が始まりスライムが次々に凍ってゆく。
あっという間に、その場にいたスライムが全て凍った。
イオの周囲に、冷凍スライムがゴロゴロ転がってる。
「イオ、それお前の
先生に言われて、イオが周囲に転がってる冷凍スライムを全部収納した。
イオはまだ攻撃魔法は使えないけど、収納魔法は使えるようだ。
スライム食えるのか。
ゼリーやわらび餅みたいに甘い味がするのかな?
「よーし、次行くぞ~」
と言いつつ、引率の先生はイオの後方。
イオが苦笑しつつ歩き出す。
スライムを片付けながら、俺たちは洞窟の奥へ向かった。
奥まで進むのは、それほど難しくはなかった。
元々そんなに強いモンスターはいなくて、洞窟の規模も小さい。
この洞窟は海へ通り抜けられるようになっていた。
最初に外へ出たのは、もちろん先頭のイオだ。
「お~っ! 海キレ~!!」
「え?! 海?!」
イオが声を上げるので、俺は思わず後方からダッシュで前まで出た。
前方に広がるのは、南の島で見るような明るい青色の海。
水の透明度は、底にある岩や砂がハッキリ見えるほど。
「すげーっ! 真っ青!!」
2人とも、解放的な海に出て、テンション上がりまくりだ。
もっと気温が高かったら、海に飛び込んでたかもしれない。
「ここで昼にするぞ~、モチ、魚獲るの手伝え」
「え? 釣り竿も投網も無いっスよ?」
「爆裂魔法を使え。攻撃目標はあの岩だ」
松本先生が、俺を呼ぶ。
呼ばれて行ってみると、魚を獲るという。
教わった通り、俺は魔法を使った。
「いっきま~す!
俺は自爆ではない、最近覚えた爆裂系の魔法を使った。
最近は威力の操作技術も上がったから、爆発の範囲を調節出来る。
「お、いいぞ。魚が浮いてきた」
爆発の衝撃で気絶した魚が、次々に浮き上がる。
【ダイナマイト漁】みたいな効果だな。
水中で
先生はダイナマイト代わりに、
威力調整が出来る今の俺なら、ダイナマイトより使い勝手がいいぞ。
そうして新鮮な魚をいっぱい手に入れて、焼き魚パーティが始まった。
ここは学生たちがよくバーベQをする場所らしく、洞窟の出口付近の箱にはバーベQの道具が入っている。
「うんまぁ!!!」
「白身魚の塩焼き最高っ!」
獲れたて新鮮な魚の塩焼き最高!
炭火でこんがり焼けたパリパリの皮!
ふっくらした白身!
クセがなく美味しい魚だ。
異世界での初バーベQに大満足して、俺たちは来た道を戻って学園に帰った。
帰りもイオが先頭で敵を引き付け、後ろの連中が魔法を浴びせて倒す。
爆裂系しか使えない俺は、ついていくだけ。
俺も他の属性魔法、覚えたいな。
※11話のイメージ画像
https://kakuyomu.jp/users/BIRD2023/news/16818093073831238508
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