2024年3月13日 行きの電車

 こうして気持ちを書いていたおかげか、幸いにも2時間ほど、睡眠することができました。


 クリアになった思考で、またこうして書いていこうと思います。


 駅に来る道中、そして今も。意外なくらい、これと言った感慨はありません。と言うより、あまり実感が湧かないんですよね…。


 ああ、今からゼミの時みたいに教授と会って、署名してもらうのか〜。ぐらいの。どこか浮ついた気持ちです。


 吹きさらしのベンチで、電車を待ちます。


 このままだと早く着きすぎてしまうので、1本後の電車に乗ることにしましょう。向こう(大学)で時間を潰せるほどの心の整理は出来ていません。


 なので、冷たい風を浴びながらでも、駅で時間を調整します。


 電車に乗る時間が長いこともあって、私は座れる確率の高い先頭車両に乗ることが多かったような気がします。


 あと、朝はなんとなく、知り合いと会いたくないっていう理由もありました。その点、改札から最も遠い先頭車両はうってつけですよね。


 でも、たまに私と同じ考えの同学科の人もいたんです。のちの友人ですよね。退学について気を使わずにずけずけと聞いてくる彼には、実はかなり救われました。


 退学って、かなり繊細な話だったみたいで。家族や友人、お世話になった先輩などがめちゃくちゃ気を遣ってくれました。


 嬉しい反面、気まずそうに聞いてくるあの感じがとても苦手でした。あの、なんとも言えない雰囲気になるのが嫌で、自分から触れるわけにもいかず。 


 今思えば、その態度がより一層、気まずさを助長していたのかもしれません。負のスパイラルですね。


 そうして気を遣わせてしまっている申し訳無さも、大学を決意する後押しになったと言ってもいいはずです。


 いずれにしても、このままではいけないという漠然とした焦りがありました。


 実習に行こうと無理をして、なお一層、実習に行けない精神状態になったこともあります。


 このままでも大丈夫だと現状を楽観する刹那的な自分と、いや無理やろと周囲の声を復唱する自分。後者が正しいと分かっていて、それでも。今に至るまで一歩が踏み出せませんでした…。


 自分では、ここまで思い込むような性格ではないと思っていたのですが、人生、ままなりません。


 一駅、また一駅と、大学の最寄り駅が近づいてきます。


 こうして書いてみて、ようやく心臓が今朝の、ギュッとなっている感覚に近いことに気づきました。


 さすがに、緊張してきました。


 ですが、ここ数年、考えて、考えて、考え抜いて導き出した答えです。必ず後悔すると分かっていて、それでも選んだ遠回り…後戻りする道。


 恐らく今のこの気持を体験出来るのは限られた人間だけだとどうにか自分を納得させて、緊張を紛らわせようと思います。


 ふと思ったのですが、死地に向かう人々はこんな感じなのでしょうか。


 死ぬとわかっていて、それでも自分で道を選んで。でも、いざその時になってみると、覚悟とかはありません。現実感もありません。ただ自分を納得させる言葉だけを探しています。


 この期に及んで尻込みしそうになっている自分に気づいたところで、次が最寄り駅のところまで来ました。


 いよいよ、教授のところに向かいます。


 逃げるな、自分。


 …ここまで後ろ向きな逃げるな、も、そうそう無いですね…。

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