堤さんとの同居


堤さんのマンションにお邪魔することになった。

整理整頓されていて、自宅とは違った。人の家にお邪魔するのは学生の頃以外で、緊張した。


上にはロフトがあって、堤さんはそこで寝ると言う。


「簡単な料理を作りますね」


「私も手伝います」


堤さんは私の目をじろっと見た。


「あなたはオーバーワークで倒れたんですよ。テレビ観て静かにしていてください」


私はボンヤリとテレビを観ていると、インターホンがピンポンとなった。


堤さんは食事を作っていたので、私が代わりに出た。


「どちら様ですか?」


「田中です。先輩、話したいことがあって」


堤さんが料理の手を止めて、すぐにインターホンへ向かった。


「何の用事ですか?大体、何故玉置さんがこちらにいることを知っているのですか?ストーカーでもしてきたんですか?」


堤さんはまくし立てた


「場合によっては、警察呼びますよ」


田中さんは怯んだ。


「玉置さん、気をつけて!この人は…


堤さんはインターホンをオフにした。


「気をつけた方が良いのは田中さんなのに、迷惑ですよ」


私は身体を震わせた。


「この家にいれば安心ですよ」


堤さんはそういって私に毛布をかけた。

そして、ポットに紅茶を入れて持ってきてくれた。

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