どうしたいですか

「どうしたいですか?」


田中さんにそう聞かれた。


「どうって…」


「私の事どう思います?好きじゃないでしょう」


「そういうわけじゃ。それに、お付き合いって順序があるでしょう?」


「女性って、第1印象で決まるから。ピンと来なかったらイマイチなんですよ」


そう言い残して、田中さんは屋上のドアを開けて階段を下りて行った。

私はどうしたいのか。


触れたりキスしたり、までかな。それ以上は怖い。もういい歳なのに…。




「田中さん、辞めるのはしばらく待ってくれないか?」


部長が田中さんを止める。


今日は田中さんは食堂にいない。

1階のレストランか?


私は階段を早足で降りると、田中さんはレストランで昼食を取っていた。

私も同席する。


「上司は有給を取って良いから、考え直してって言ってるよ」


田中さんは我関せず、黙々と食事をする。


「ふうん」


もう、仕事にも私にも興味を持たなくなった田中さん。こういう人にしたのは私の責任だ。


「家に来て」


「はあ? あの〜意味分かってますか?」


私の心臓はドクドクしていて、つばを飲み込む回数が増える。


「覚悟は出来ていますから」


私の足先と手先は循環が悪くなり、震える。

嘘だ。覚悟なんて出来てない。







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