別れ際にはいつもタッチしてくるのに

 玉置さんは別れ際にいつもタッチしてくる。

初めは不思議に思った。そういう人じゃないよね?

 ただ、玉置さんがドライブに連れて行ってくれた時、その時は別れ際のタッチがなかった。

 乗り換え駅が一緒で、玉置さんのホームが違う場所だった私は特急のホームで。

 玉置さんのいるホームに行った。


「田中さん、ホームは反対側だよ」


 「朝乗った緑色の電車に乗りたくて」


 「このホームの行き先で緑色の電車はまた降りだよ」


 私は残念に思った。

 胸が締め付けられた。

 

 今日はタッチもしてくれない。

 あの暖かい手でのタッチがしたい。

 私の手は、冷たくて湿っている。


 今日に限って、玉置さんはバイバイをしている。またね、と言って。

 私は初めはバイバイをしなかった。行かないで。私、壊れちゃうよ。

 でも再度、玉置さんはバイバイをした。私ははっとわれに帰り、バイバイを返した。

 

 「家に帰っても少しLINEしても良いですか?」


 玉置さんは頷いた。


 私は、進行方向のホームへと戻った。

 後でLINEできるんだ。寂しくないと。


 

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