成立しない会話

 テーブルを挟んで向かい側には、赤い長髪の顔が見えないほど深くローブを被っているアルトボイスの女性がニッコリと微笑んでいる。


 その女性は、自ら『ヴァイオレット』と名乗った。


「お前には、色々と聞きたい事がある」


"コト・・・"


 水の横にポタージュが置き、頬杖をついた。


 先程無理矢理飲まされ、毒見(?)は済んでいる。


 またあっつあつのポタージュを飲まされてはたまらないので、大人しく飲む。


「まずは、お前がここにどう入ったか」


「フーフー」


「草むらに倒れていた事も驚きだが、その首輪も」


「フーフー」


「・・・おい」


 話の続きに、女・・・ヴァイオレットが私に話しかけて来た。


「何?」


「いや・・・、お前猫舌か?」


「まぁ」


 私の欠点(?)の一つに、猫舌がある。それも、重度(?)の猫舌だ。


 だからこそ、さっき口にあっつあつのポタージュを突っ込まれたのはかなりきつかった・・・。


 私の怒りを悟ったのか、ヴァイオレットはフイッと目を逸らし、話を再開した。


「いくつかの質問に答えてもらう」


「分かった。では、それが終わったら、こちらの質問にも答えてもらう」


「・・・まぁ、良いだろう」


(ん・・・?)


 私は、軽く目を見張った。


 フカフカのベッドに、ポタージュまで用意してもらったのだ。


 それに、さっきの話だと私は草むらに倒れていたらしいし・・・。


 てっきり、断られると思っていたのだが。


「?なんだ??」


「いや、何でも」


「・・・そうか。それでは、早速一問目」


 ヴァイオレットは、人差し指を天井に向けた。


「お前は、どうやってここまで来た?」


「知らん」


 間0.2秒。


 ヴァイオレットは、呆気に取られている。


「いや・・・、『知らん』て」


「知らんもんは、知らん。私は、気付いたらベッドの上だった」


 少し冷たくなったポタージュを掬いながら、私は質問に答えた。


 まずまず、この世界は"私"のいた世界ではない。


 それまでの記憶だって、全くないのだ。


「・・・では、二問目」


 次は、中指を立てた。


「なぜ、あそこで倒れていた?」


「ヴァイオレット」


 私は、悟って会話を遮った。


 そう、私は気付いた。


 このままだと・・・



人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人

私が『知らん』と返して終わってしまう!!!!!!!

YYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る