第34話:草刈機の効果

「あの草刈機なんなんだ!?」


 来店後、開口一番カイが言った。今日は両手に花のリクとクウはいないようだ。仲良し3人組なので、一人で来るときはカレーが我慢できなくなった時か、現世界話をしたいときかだ。


「あ、草刈機使えました? なにか問題が?」


 そう言えば、村に行く前にカイに草刈機を貸した。物置きから引っ張り出してきたやつだったけど、運転テストもしてから渡したはずだ。


「草がバリバリ狩れる!」


 そりゃそうだ。草刈機だから。


「そうじゃない! どうしてもこうしたもねえよ! なんだこれすげえよ! 草 めちゃくちゃ刈れるよ!」

「はあ……」


 俺の反応に『そうじゃない』と言わんばかりのリアクションに俺は意図を掴みかねていた。


「世界に 草刈り機があったのも驚きだけど、この草刈り機 めちゃくちゃ 高性能なんだよ! ガンガン 草刈れて、 多分1週間分ぐらいを1日で刈れたよ!」

「それはすごいすね」

「しかも、 俺たち3人分を一人でだよ!」


 どんだけ すげえんだよ。


「しかも、この草刈機 植物系モンスターも刈れる!」


 ……刈ったんだ。


「 草系の柔らかいやつはガンガン こいつ で刈れるんだよ! ただ 樹木系の硬いやつはダメだった 」


 あーそうですか……。試したんかーい。大丈夫かなうちの草刈機……。


「それで、この草刈り機 譲ってもらえないかなと思って……」


 カイがめちゃくちゃ期待した目をしてる。見えない尻尾が左右にぶんぶん振られているのが見えるようだ。


 草刈機 譲るのは別に構わないけど、 なくなるとうちの庭の草が刈れなくなるのがちょっと困る。


「 金貨 10枚でどうだ!?」


 金貨 10枚……。 ざっくり 10万円か。 草刈り機 なんか ホームセンターに買いに行けば 2万円ぐらいだから、いいと思うけどな。


 しかも、 ガソリンは定期的に買ってくれるだろうし。 これはお得なのかもしれない!


「分かりました。 譲ります」

「 本当か!? ありがとう!!」


 カイは俺の手をガッシリ握って礼を言った。


 まあ、 向こうは向こうで 草刈りして、モンスター刈って、儲けが出るだろうから、 win-win ということにしておこう。


 それにしても、単なる草刈り機がそんなに有益だったとは。物置にあったものだけど、じいちゃんの使ってたいいやつだったのかな?


「そういえば、 樹木を切り倒したいっていうことだったら、チェーンソー もあるんですけど……」

「マジかよ チェーンソー ちょっと貸してもらえないか!? まずは使ってみていけるんだったらチェーンソーも買いたい!」


 カイの顔が近い。かなり乗り気だ。


「分かりました。明日にでも引っ張り出してきます」


 ここでカイが肩にケガをしているのに気がついた。

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