第24話:キャノピーで帰宅

(ブロロー)「俺は何をしてるんだ」


 数日間の村での生活を終え、俺は自分の家にキャノピーで帰っている最中だ。何度か家と村を往復したので、運転にも慣れたし、道も確実に覚えた。割と大変だったから、道中の話で2話、3話あってもよかったくらいだ。


 そんなことはどうでもいいくらいに理解を超えたことが起きている。キャノピーを運転して帰っているのだけど……。


 キャノピーの席の後ろにルルが座っている。思いっきり抱き着かれて、腰に手を回されて、異世界のあぜ道をキャノピーで爆走中だ。


 あ、キャノピーは50ccだから一人乗りだろう! 2人乗りは道交法違反だって言って人! 俺は日本にいるんじゃない。異世界にいるんだ! 海外にいるようなもんだから、その国の法律に従うのさ!


 異世界に50ccもバイクもキャノピーもない以上、2人乗りを制限する法律なんてない! つまり、2人乗り自体は全然問題じゃないのさ!


 ……。


 国外犯みたいに、日本人は海外に置いて海外の方の下、合法の事柄を行ったとしても、それが日本国内で法律違反だった場合、日本に帰国後に処罰されるという……ガチなやつを言ってくる人……ごめんなさい。


 例えば、海外でマリファナが合法の国で日本人がマリファナを吸って帰国したら、罰せられる……かどうかは分からないので、「罰せられる可能性がある」ってしとこうかな。


 日本国内では50ccバイク(正確には原動機付自転車)で2人乗りは道路交通法違反だから、異世界においても俺が日本人である以上その法律が適用されるっていうヤツ……異世界まで捕まえに来てみろ!


「コーイチ様、なにをぶつぶつ言っておられるのですか?」


 その声の主はルル。


 先ほど言ってみたいに、俺の運転するキャノピーに同乗しているのだ。


「いや、なんでもない」

「そうですか。それにしても、この乗り物、馬もいなければロバもいないし、ラハもいないのに進むんですね! しかも速い!」


 馬やロバは馬車とかの話だろう。「ラハ」ってどんな動物だよ!? ……動物の話だよね!?


「これはキャノピーって言って……」


 この異世界の人にバイクを説明する難しさよ。「エンジン」が通じない。馬車はあるみたいだから、「タイヤ」とか「車輪」は通じるかな……。「ハンドル」……。


「魔法みたいに自在に走れて、自由にコントロールできる乗り物だよ」

「魔法みたいに……」


 ルルは背後にいるし、顔は見えないけど、感心しているのが声からも分かる。原付のシートだから元々狭いのでぴったりくっついているのでその空気感の伝わり具合はハンパない。


 ルルは多分、中学生か高校生くらい。言ってみれば俺とおない年くらい。


 当然、それなりに出るところが出ている。そして、狭い原付のシートに二人で座っているので、ものすごく抱き付いてきている。つまり、背中に二つのふくらみを感じるんだけど……。


 スピードも速いのだと思う。かつて経験したことが無いスピードだろう。怖いのもあってしっかり掴まってくれている。ちょっと段があったりしてガタンとなるたびに、ぎゅうとより強くしがみついてくる。


 そのたびに、胸が押し付けられて……色々初めての経験だった。


 わざとちょっとスピードを上げたりして……。


 そんな俺の邪悪な煩悩と共に二人が乗ったキャノピーはチュウカン町の俺の店に向かうのだった。



読んでくださりありがとうございます。

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