第16話:異世界ものでは珍しい原付走行

 コーイチは自宅倉庫から祖父が使っていたキャノピーを持ち出した。苦労してメンテナンスをしたことで眠っていたキャノピーは再び走行可能になっていた。


 機械的、電気的な故障の場合、素人のコーイチでは修理できない可能性があったことから、少し胸をなでおろしていた。


 そして、次の難関は原付きの運転だ。キャノピーは三輪の原付バイクなので転ぶことはないが、自転車しか乗れないコーイチには速さに慣れる必要があった。


 自転車は普通のシティサイクル(通称ママチャリ)だと全速力でも時速30キロ程度しか出ない。全速力なので、それを継続するのはかなり難しく実際は15キロぐらいと考えていいだろう。


 それに比べてキャノピーは普通に50キロ以上のスピードで走ることができる。実際スピードメーターは60キロまであるのだ。原付の法定速度は30キロ。その2倍まで速く走れるというのはスピード違反で捕まりやすくしていると考えられなくもない。


 余談だがコーイチの祖父のキャノピーはリミッターがカットされており、能力限界まで速く走る能力があった。


 コーイチは半日ほど何もない開けた場所でキャノピーの練習をした。乗ること自体は5分もあれば可能だった。しかし、スピードに慣れるのには少し時間を要した。しかも、練習した場所が日本の舗装された道路ではなく、異世界の砂利道だったからだ。当然、水平ではないし、時折走る馬車の車輪の跡、轍の部分だけ凹んでいるのだ。要するに道の中央は出っ張っていて、馬車の車輪の幅はくぼんでいて、その外側に行くほどまた盛り上がっている状態なのだ。


 コーイチは、道って舗装してないとこんな状態なんだと初めて知った。関わったこともない道路工事業者さんや、国土交通省に税金も無駄遣いと思っていた自分を叱ってやりたいと思っていた。


 色々試してみた結果、道の中央を走ることで比較的安定して走ることができることが分かった。コーイチが読んだ本に限って言えば、異世界でキャノピーに乗って舗装されていない道と格闘する話は読んだことがなく、誰か先に経験していてくれればそれなりに心の準備ができたのに、と思っていた。


 道のど真ん中を走っていると、正面から馬車が来た場合、離合に苦労するとコーイチは本能的に警戒していた。道もフラットでなく、突然石が飛び出ていたり、木の根っこが出ていたりすることで、段差ができているのでパンクの可能性もあった。普通に考えたら、そのような状態の道を長距離走るのは得策ではないと考え、いいとこ町の外周を一周する程度でやめるべきだろう。


 ところが、コーイチはまだ高校生。普段は姿をひそめていた『好奇心』という魔物が心の中で16ビートに合わせてダンスしていたのであった。


 半日の練習で謎の自信を得て、コーイチはウーバーイーツのようなリュックに食べ物を大量に詰め込み、キャノピー背面の出前を入れる様になっているボックスにも薬箱、遭難したとき用のチョコレート、砂漠に取り残されたとき用のポカリスエットのペットボトルなど、あとで考えたらほとんど必要がない物と夢を詰め込んで闇雲に村を探して出発したのだった。


プライベートで事件が起きました(汗)あ、小説のお話ではないです。

施設に入っている母の年金を父が泥棒しました。年金事務所に行って、本人に渡さず違法に占有している母名義の口座に年金が振り込まれるようにしていました。

書類の偽造と、委任状の偽造をした上で、適当な印鑑で押印してたみたいです。母の年金4か月分が盗まれて警察に刑事告訴してもらうことになりました。

母は施設代を払えなくなり、私が立て替えることになるのだと思うのですが、収入はないので、返ってくることのない建て替えです(汗)

現実は小説よりも奇なり……また経過をお知らせするかもしれません(汗)


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