第6話:元さんとじいちゃんとコーヒー

 俺は現世界の店に戻り、一度自分の目の前に起きたことを整理することにした。


 じいちゃんから 引き継いだこの店は 鍵がかかった扉があった。 そして、その扉の向こうには もう一つ 店があった。


 その店の外は 、あろう事か異世界だった!


 たまたま 客としてきた金髪 ブルーアイズの男にまたコーヒーを出す約束をしたし、 カレーとハンバーグを準備する約束をしてしまった。


 コーヒーを淹れる練習しとかないとな。カレーとハンバーグは業務用食材の店『ファティ』で探してみるか。


 まずコーヒーに関しては、1回目淹れてコーヒーと2回目入れたコーヒーでは味が違った。 2回目は できるだけ 美味しいものを出そうと思って豆をいっぱい使ったせいで、ちょっと味が濃すぎた感じはした。


 コーヒーの濃さ なんかは 安定してた方がいいだろうから 豆の量もきちんと 正しい行を測りたいと思う。


 でも、 コーヒーに 合った 豆の量ってどれぐらいなんだ? なんだそう 思って俺はネットで調べ始めた。


 1回1杯の コーヒーに必要な 豆の量はおよそ10g 。なるほど、店に秤ががあったことを思い出した。この秤で計ってたのかな 、じいちゃん。


 デジタルの秤にコーヒー豆をのせていく 10gになるように調整してみた。 あー、 コーヒーの豆の量って このくらいか。コーヒー豆の数にしておよそ80個分。それで10g、1杯分らしい。 意外と 少なくて良かった。


 すると、横に大きめの計量スプーンを見つけた。 もしかしてこれ1杯でコーヒー 1杯分 ってこと!?


 計った10g を計量スプーン入れてみたら、だいたい1杯分だった。 要するに、 毎回秤で計らなくてもこの計量スプーン 1杯 すくえばコーヒー豆 一杯分くらいになるってことか。


 俺のコーヒーレベルは1から2に上がったな。……多分。『レベル』とか異世界に行った事が影響してるかも。


(カランコーン)「邪魔するぜ」


 またしてもいきなり人が入ってきた。今度は、現世界の方の喫茶店だ。入ってきた人は、年配者で白いあごひげはもみあげと繋がっている。そのくせ、天頂部は皮膚が露わになっていて、要するにハゲだ。


「あの……」


 俺は慌てて言葉がなかった。


「ああ……、坊か」


 その年配者は元さん。あまり話したことはないけれど、じいちゃんの友達だ。


「悪いな、突然。ロンさんが亡くなったのは理解してるんだ。でも、店に人影が見えたからつい……な」

「いえ、葬式のときはお世話になりました」

「いや、お前さんは若いのにしっかりしてたよ。ロンさんも喜んでるだろうさ」


 じいちゃんは、『論渡ろんど』って名前だ。友達の間ではロンさんって親しまれてた。


「お? コーヒーか」


 元さんが俺がコーヒーを淹れているのを見て言った。


「はい、店ができないかなって……」

「そっか、親戚もいないって言ってたな」

「はい……」

「困ったらいつでもうちに来い。飯くらいいつでも食わしてやる。孫娘もお前さんには来てほしいと思ってるはずだけどな」

「ありがとうございます。いずれ」


「「……」」


 ふいに元さんが静かになった。


「懐かしいな」


 そう言って、元さんはカウンターの席に座った。俺はカウンターの中にいたので、さながら喫茶店の店員とお客さんの様な構図になっているが、当の俺は満足にコーヒーを淹れることもできない素人だ。


「なにがですか?」

「いやな、ロンさんが店始める時にコーヒーを極めるって言って何度も試飲させられたもんだぜ」

「試飲……」

「ああ、最初の方は試行錯誤ばっかでよ。一緒にお湯の温度を色々変えてコーヒー淹れてみたり、豆の量を変えてみたりよぉ」

「!! 元さん! 俺にコーヒーの淹れ方を教えてください!」

「なんだと!?」


祝日の朝からありがとうございます♪

初日にストックをほとんど吐き出してしまったので、頑張って書きます。

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