第4話:ドアを開けたら異世界

 あなたは、自分の家で行ったことがない場所を見つけたことがありますか? 俺にはあります。家で店をやっている人は経験があると思うけど、店は家とは別の空間と言う認識だ。


 だから、用事がないとそこには行かない。その行かない店のドアの中に何があるかなんて知る由もないのだ。ところが、ドアを開けるとそこには店がもうひとつあった。


 なに、ここ変な感じ。 この扉の 手前と向こうでちょうど 鏡に映したみたいに 同じ間取りの店が あったのだ。こっちの店もカウンター 5人、 テーブル 2つ そして扉の向こうも同じように、 カウンターに5人分の椅子、 テーブル席が2つの 間取り。


 広さ 的にどこに繋がってるんだろうと思って俺は ドアの向こうの店の入り口のドアを開けてみた。 そして、 そこは これまで全く見たことがない世界だった。


 村? 町?


 地面が舗装されていない時点で日本の景色とは全然違った。


 俺にだって好奇心はある。 扉の向こうの店から出た先も 光景は建物はあるけど人は全くいない。 この建物 の外観から見てすぐわかる。 ここは日本じゃない。 何て言ったらいいんだろう。


 昔の日本家屋が 『木』と 『紙』で作られているとしたら、こっちは 『土造り』って感じ。いや、 これはレンガなのか? 日本にある 長方形の あのレンガじゃなくて、 いかにも 手作りですって感じの 角が取れちゃってるようなレンガ。


 その手作り土レンガを 組み合わせて家が作ってある。


「 なになに? ここ異世界なの? 俺死んだの?」


 俺は自分の体をバンバン叩いてみたり、顔を触ってみたりするけれど何も異常がない。 俺死んだってわけじゃないのか、『異世界転生』とかではない。いつもと同じ身体だ。


 今の状態と記憶もそのままに 異世界に生まれかわるのが『異世界転生』ってことなら、 今の状態はそうではない。 だって 何も変わってないし。『異世界転移』、『異世界転生』どちらにしても、俺は死んだはずだ。


 その場合、パターンで言えば、神様や女神と会ってギフト的な物をもらえるはず。 ところが、神様に会った記憶が一切ない。 一応、 自分が死んだ可能性も考えてみたけど、思い当たらない。ついさっきまで自分の家の店舗にいただけなのだから。


 念のため、自分の元々の家にも入ってみた。 店に戻って 家に入ることもできた。


「これってどういうこと?」


 異世界といえば行ったっきり帰ってこないのが相場だ。帰ってこれないのが相場なのに 扉を通れば向こうに行くことができてる、こっちにも戻ってくることもできる。


 訳が分からなくなって俺はもう1回 扉の向こう側の店に行くことにした。 恐る恐る店の外に出てみると、外に人影を見つけた。遠くに人が一人立っている。 本能的に まずいと思って 急いで店に戻った。 人影が通り過ぎるのか、俺はカウンターの影に隠れて 見ていた。


 ところが、その人影はうちの店の前で立ち止まった。それどころか、ドアを開けて入ってきたのだった。


1日5回更新挑戦中。

次回は22時。だいぶストックを吐き出しつつあるので、ぜひ「いいね」と評価でモチベーションを上げてください^^;

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る