第11話 大好きな友達

 なんで、どうしてこうなったの。


 美琴のことが大好きだ。ずっと、五年もの間女の子から避けられて、友達が中々できなかった私と仲良くしてくれた。美琴のおかげで中学生活乗り切れた。

 二年前に出会った健二くんとも恋人になれるように沢山協力してくれた。健二くんと付き合えて、今度は私の番だって思った。だから雄介先輩と仲良くなった。早く美琴に紹介したかったけど、美琴がその気になれないって言うから一度だけ無理やり合わせようとした。だけど健二くんがそれに気づいて止めた。

 それからは二人の仲を取り持つために必死で行動してきた。でもそれは二人にとってよくないことだった。


 美琴が泣いてる。雄介先輩が怒ってる。

 健二くんが止めてる。小田先輩がどこかに電話してる。奏先輩は呆然としている。


 こうなるつもりなんてなかった。夏祭りだって健二くんの働く姿を見て、美琴と回れればそれでよかった。それが楽しみだった。

 浴衣で写真撮って、帰りにプリクラ寄って。綿あめ二人で食べて、美琴のために買ったいちご飴だってある。花火だって、美琴と見たかった。


 だけど、美琴はそうじゃなかったみたい。


「謝るだけじゃ気が済まない。縁切れよ」


 そう言った雄介先輩に、今まで私がしてきたことが間違っていたことに気が付いた。

 先輩と美琴をくっ付けるはずだったのにいつの間にか先輩が私のことを好きになってた。美琴は先輩の感情に気づいて、今日私から離れた。


 先輩のために、だろう。優しい美琴だし、ない話ではない。


 そしてあの日、美琴が先輩に突き放されて泣いた日だって、景先輩が追いかけていくのを見た瞬間美琴が泣いていたことを理解できたぐらいだ。私はぽんこつだけで言いくるめないほどのバカだ。

 友達のこと傷つけて、今だって好きな人に罵倒されてる。


「やめて。もう、やめて」

「芽久?」

「私の友達、いじめないで」


 涙ながらに訴えるとようやく先輩が止まった。俯いて表情の見えない美琴。だけど地面に落ちる雫が泣いていることを表していて。ここまで美琴を追い詰めた自分に腹が立つ。

 私は美琴の傍によりそっと抱きしめた。


「私なにも分かってなかった。もう関わるのやめる。〝桜木先輩〟と」

「め、ぐ……」


 ごめんだけじゃすまないって、今更関わりをやめたぐらいで償えるなんて思ってない。

 だから私は、大好きな友達のためにこの恋を捨てることにした。



「健二くん」



 〝私と、別れてください〟

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