第2話 本は飽きない

一人の人物が暗褐色の屋敷へと訪れる。人物は一つの部屋へと入っていく。。部屋は膨大な本と本棚の書斎であり、床には引っ張り出された本が積まれ散らかっている。中央には、不老不死の男が本の山に囲まれ、本を読んでいる。

「まさか、お前が屋敷を持っているとは。」

「意外だった?」

「お前にとってはすぐに崩れてしまうだろう?」

「まあ、そうだけど、かと言って家を持たない理由にはならないよ。それに、ちょっと対策してるから普通の家より長く持つよ。」

「そうか。…ずいぶんとコレクションをしているようだな。飽きないのか?」

「飽きないさ」

「お前くらいになれば、内容のパターンもわかっているだろう。新鮮味もない。退屈になると思うが。」

「確かに、初めて見る衝撃っていうのはないね。パターンもわかってる。でも退屈にはならないよ。同じ内容の本は一つもないからね。それぞれ一つ一つに面白さがある。」

「私にその気持ちはわからないね。…これは…和紙か?なんでこんなことを?」

「ああそれ?和紙は1000年持つからね。普通の紙じゃあ、書き写してる内に朽ちちゃう。」

「そういう話じゃあないんだが…」

「やっぱり本は紙じゃあないとね。紙を捲る感覚は、物語の歩を進めてるって実感があるし、読んでるって感じがする。読むっていうのはただ情報得るための手段じゃあなくて、読む行為そのものに意味があると思うんだ。」

「私の話を聞け。…はぁ。もう勝手にしろ。」

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