不老不死の男

うよすけ

第1話 不老不死の男

1人の人物が、永く生きた男に語りかける。男はただ座り、本を読み続けている。

「お前、不老不死なんだろ」

「そうだけど。」

「なぜ不老不死なんだ。どうやってなった。」

「秘密。」

「なぜだ。」

「君に不老不死の資格がない。」

「私に不老不死の資格がないだと?」

「ああ。君、というか人間には耐えられない。大切な人の死に悲しんだり、孤独に苛まれたり。君もそうなると思うよ。まあ、自分しか例がないから予想だけど。」

「じゃあ、お前はなんなんだ?」

「僕はまぁ、イカれてるというか、不老不死になるべくして存在してるような人間だからね。」

「…なぜ、皆と死別するとわかっててそれでなお人と関わってる?」

「なぜって、人と関わるのは楽しいからね。それに、彼ら彼女らが生きた証や願いを記憶するって意味もあるね。大抵の人は、身近な人たちがいなくなったら、忘れられ埋もれてしまうものさ。でも、1人1人に人生がある。有象無象なんかじゃない。そんな人たちの事を、忘れられ埋もれてしまわないように、憶えておくんだよ。」

「お前は、今まで関わってきた人全員を憶えているというのか?」

「当然。」

「本当に?」

「それだと、一生×人数分の話をすることになるけど?」

「…遠慮しておく。」

「そう。」

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