いずれ黒歴史になるだろうルーティーン

寝る前のルーティーンはありますか?

 あります。


 物心ついたころからでしょうか。私はとても、創作物というものが好きでして。


 小学生の頃に出会った「妖界ナビ・ルナ」。この作品に非常に良い意味で狂わされました。


 こちらの小説はざっくばらんに言うと、可愛い女の子が伝説の子という過酷な運命を背負っていて、しかも第三の目があって、不思議な力があって、妖怪なんかと関わっていくというお話です。

 このお話の主人公ルナちゃんに私はなりたかったんです。


 でも当然なれません。なので、なりきってみることにしたんです。人前でする勇気のある子どもじゃなかったので、寝る前、布団の中で。


「臨兵闘者皆陣列在前」と印を結び、時には登場人物と会話をし。一人芝居ですよ。それがとてつもなく幸福な時間なんです。

 その時だけは、物語の主人公ですから。


 次第に、既にある作品に自己を投影したキャラクターを登場させる遊びにハマります。そのキャラクターとして、共に戦い、泣き、笑う。全部寝る前に布団の中でやるんですよ。


 今でもやっているかって?やっていますよ。今、私は自分で小説を書いているんですが、そのストーリーは大体、私が一人芝居をする中で作り上げたものです。小説の登場人物の行動に齟齬が無いか、自分で確かめるんです。寝る前に布団の中で。


 何年も何年もやっているので、好きな芝居とかが出てくるんです。

 教室の中で、ぶったおれて。ぶつかられた机の音で自分に注目が集まって。好きな男の子が姫抱きで保健室まで運んでくれるとか。

 過呼吸をキスで落ち着かせてくれるとか。

 残念ですね。これ以上思いつきません。寝る前に布団に入った瞬間、アイデアがあふれ出てくるんです。


 いつまでやるんですかって?そうですね。私が創作をやめるまでです。きっと、私が何か生み出すにはこの作業が必要なんですよ。


 誰にも言ったことはありません。言える訳ないじゃないですか。だからこういう、黒歴史が集まる場に公開しているんです。他の方のストーリーでちょっと薄めて貰えたり。


 高校2年の冬でも、今までこれを後悔したことはありません。表情の作り方とか、めっちゃ上手だと思うので、いつか人前で演技してみたいですね。


 あと数十年したら、きっと黒歴史になるお話でした。

 顔を赤く染めて、恥ずかしさのあまり崩れ落ちる演技の練習をしておきましょう。

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