第6話川崎の失敗

川崎巡査は黒井川警部の下、自分なりに独自に捜査した。

黒井川警部の口癖は、

「人間が作り出した問題は、人間なら誰でも注意深く考察すれば、必ず解ける」

だ。

川崎は、天野、河合、田中の共通点を探っていた。

天馬先生は絡んでいない。3人目の犠牲者で理解した。

すると、ある共通点に気付いた。

川崎はその人物と個人的に話そうと、郊外の公園に呼び出した。

時刻は夜の7時。

辺りは、真っ暗だが駐車場でその人物を待った。


川崎は車から降りて、タバコを吸っていた。

1台の軽自動車が駐車場に止まった。

「こんな、時間にお呼び出しして申し訳ございません。ここで、お話は何ですから、どうぞ、僕の車の助手席に」

その人物は、言われるがままに車に乗り込もうとした。


「川崎巡査」

「はいっ」


パンッ、パンッ


川崎巡査はその人物から、拳銃で撃たれた。その人物は、携帯電話と捜査資料を奪い、車で逃げた。

川崎巡査はピクリともしない。


間もなく、銃声で驚いた住民からの通報でパトカーが到着した。

車からは、黒井川警部が。

黒井川は、川崎に声をかけながら救急車にのり、尼ケ坂病院まで運んだ。

ストレッチャーで運ばれる川崎に黒井川は、

「死ぬな!川崎!死ぬな!」

処置室に運ばれる川崎を見届けると、ワトソンこと戸川医師が、

「大丈夫。心配しないで黒井川警部。弾は急所から外れてると思うから」

「ホントか?ワトソン!」

ワトソンはうんうんと頷いた。

川崎巡査は、真実を知ったが為に犯人に撃たれた事を黒井川は理解した。


彼は署に戻り、被害者の共通点、そして、今回の川崎巡査殺人未遂の捜査を開始した。

ワトソン君にも、手伝ってもらった。3人目の殺人でのナイフの刺さり具合から、身長を導き出した事。

押収されたコカインの行方を捜査するとある人物に辿り着く。

「黒井川警部、これで間違いないでしょう」

「……」

「ま、タバコでも吸いましょう」

「そうだな」

黒井川は思い切り煙を吸い込んで、ため息のように煙を吐いた。

「参ったな」

黒井川は、翌朝まで調べ上げて、犯人を断定した。昨日の直感はほぼ当たりだが、ここに来て断定した。

それを、藤岡警視に報告すると、

「粘り勝ちですね。黒井川警部。僕はあなたに任せます。今後の対応は僕が責任を持ちます。逮捕状を取りますか?」

「いえ、自首してもらうつもりです」

「好きに動いて結構です」


黒井川は藤岡の対応に好感を持てた。単なる頭でっかちなキャリア組だと敵視していたが。

ワトソン君に車を運転させて、ある人物に会いに向かった。



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