第5話犯人像

更に被害者が増えた。 

女性の刺殺死体が発見されはたのは、一軒家のキッチン。

死亡推定時刻は、昨夜の夕方から夜9時の間である。

殺されたのは田中美樹35歳独身。

一軒家は両親が遺したもので、田中は一人暮らしをしていた。

3年前に、両親を交通事故で亡くしたのだ。

死体は心臓をサバイバルナイフで一突き。

そして、舌が切り取らて、キッチンで調理したと思われる。

「黒井川さん。この家には防犯カメラが付いていないので、全く犯人像が浮かび上がりません」

と、川崎が言うと、

「天馬先生の居所を早く掴む事だ。この被害者も桜山中学校だろう」

と、黒井川が呟いた。しかし、部屋の捜査をしてアルバムが出てきたが、その卒業アルバムは谷山中学校とあった。

教員氏名欄には、天馬先生の名前は無かった。

しかし、川崎は天馬先生を怪しんでいる。黒井川は直感で犯人は天馬では無いと踏んでいた。


翌日、天馬先生の勤務場所が分かった。

県内の中学校の校長をしていたのだ。

早速、黒井川と川崎は中学校の校長室で天馬の話しを聞くことになった。

「警察の方が私に何の用だ?」

天馬校長は、校長室のソファーに座る2人の刑事に言った。

「あなたが、受け持ったクラスの生徒3人が何者かに殺害されました。なにか、殺害された、被害者の情報を集めようと天馬先生のお話しを伺いに来た訳でして、なにかご存知ないでしょうか?」

川崎は丁寧な言葉を天馬に投げかけた。

天馬は二人にホットコーヒーを出して、

「たしかに、私が受け持った生徒です。天野君、河合君は問題児で、何度か警察のお世話になったと記憶していますが、私は卒業後の事は何も知りませんな」

と、天馬はコーヒーを口に運び、ため息をついた。

「天馬先生、あなた、昨日の夜9時くらい、どこにいらしてましたか?」

と、黒井川の質問に、

「昨夜は教育委員会の仲間と、居酒屋で飲んでましたよ」

「そうですか?お店の名前は?」

「……千代です。居酒屋千代。……ちょっと待ちなさい。君たちは、私を疑っているのか?」

天馬は興奮している。

「これは、形式的なものです。少しでも情報が欲しいのです。すみません。我々は退散しますので」

黒井川が丁寧に謝ると、天馬は黙り込んだ。

二人の刑事は千代に向かうと、やはり彼の証言通り、8時から22時くらいまで天馬先生はこの店にいたことが立証された。

そして、黒井川は殺された3人の女性のある共通点を発見してしまった。

その時、黒井川は胸が痛んだ。

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