第16話




side天野竜馬


例の強い気配を待っていると、20人ほどの探索者と一人のとてつもない気配を持つ青年がやってきた。


邪魔だ。殺してやる。


「グオオオオ!」

突進して、噛み砕こうとしたが、避けられてしまった。


「うおっ、あぶねー」

そう言って青年はよそ見をしだした。随分と余裕があるみたいだな。

炎のブレスを放ったが、効かないらしい。


何やら妙な事をしてきたが、特に効果はなかったのに背筋がゾワっとした。


剣で切りつけられたが、そこまで深くはない。すぐに回復するだろうと思っていたが、無限再生の効果が何故か落ちている。


なんだこれは?嫌な予感がするので、少し距離を取ろう。


またよそ見をし始めたので、イラっときて不意打ちで尻尾を打ちつけて吹き飛ばした。


噛みつきや尻尾などで追撃をして、弱ったところで魔力を3割使った魔法を打ったが、何故かそこに奴の姿はなく、地面の抉れた後しか残っていなかった。




気づいたら、なんと後ろに回り込まれていて、斬撃を喰らってしまった。

「グアアッ」

かなり痛く、うめき声が出てしまった。

反射で薙ぎ払ったがうまく当たらない。やつのスキルなのだろうか。


ステータスを確認してみると、体力が1000ちょっとまで削られており、回復する様子が見えない。

次の攻撃で確実にやられる。そう、確信した俺は、MPをすべて使い切って、月と同じくらいの火球を地上100mほどに呼び出した。一度、MPを使い切ったらどうなるのかという実験をしてみると、残り1割で気絶してしまったが、おそらく今度はそれでは済まない。ここで、命を捨てる覚悟を決めて、火球を地面にぶつけた。

恐竜が絶滅したときの隕石は、直径10kmほどで、メキシコから世界中に影響お及ぼしたそうだから、これがぶつかれば、衝撃波で巨大な津波が発生し、世界中が海に沈んで新しい生態系が形成されてモンスターを頂点としたあらたなピラミッドができるはずだ。

火球を思いっきり地面へぶつけると、消費したMPが清算されて、魔力は枯渇して、『俺』は消滅した。


《モンスターはポップし、倒されてもまたリポップする。我々は世界を支配する。》

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