第15話

side黒野勇人

準備はできた。先走ったバカがやられたらしいが、その御蔭でワンパンされそうなやつは部隊から抜いて被害を少しだけ小さくできた。

まあ、すでに20万人ほど被害が出ているらしいが、一人でも被害者は減らしたい。


「行くぞ!ドラゴンを討伐して、世界に平穏を取り戻すぞ!」

『うぉおおおおおおおおおおお!!!!!』


総数20名。100匹ほどのミノタウロスとドラゴンに数は劣るが、レベルが全員800オーバー、範囲攻撃に特化したやつもいるので、。勝機は十分にある。

転移魔法でドラゴンの下へ移動する。さあ、始まりだ。






ドラゴンから、100mほど離れた場所に来たので、ここからは各自別行動だ。

クセが強いやつが多いから協調性が皆無なので、それぞれで戦ってもらう。



ドラゴンは、何かを待っているかのようにして動かなかったが、俺が近づいた途端立ち上がった。


「グオオオオオ!」


ドラゴンは、俺を見つけるやいなや、突進してきて、噛みつこうとしてきた。


「うぉっ!あぶねー」


なんとか避けることができたが、衝撃波がものすごかった。


周りをちらっと見てみると、なぜかミノタウロスと討伐隊の奴らは先程の咆吼で吹き飛ばされていた。討伐隊の奴らは弱すぎだけど、味方にも被害が出るってどんだけなんだよ、こいつ。

ドラゴンに対する評価を上げていると、炎のブレスが飛んできた。


残念だ。向こうの世界で、火山の火口に入ってダンジョンを攻略したときに炎無効のスキルを取っていたため、燃えることはなかった。

反撃で、試しに即死攻撃を仕掛けてみたが、やはりだめか。向こうでもそうだったが、ドラゴンには即死攻撃が聞かない。


世界最高難易度と言われているダンジョンボスの素材で作った大剣で切りかかってみると、ダメージは与えられたが、回復されてしまう。速度からして、超再生か?それならMp切れを狙う前に再生不可な傷を与えて倒せるかもしれない。




追撃しようとすると、何故かドラゴンは怖がっているような様子で避け、俺から少し離れた。

これは、かなりダメージを与えれたかもしれないぞ。しかし、時間をかけすぎると回復しきってしまう。


ミノタウロスの討伐は順調だろうか?周りに一瞬気を向けると、ドラゴンの姿が見当たらなくなった。どこだ?と周りを探るが、見つからない。一瞬気配を感じたが、時既に遅し、尻尾で強烈に叩きつけられ、吹き飛ばされた。

ふらついてしまい、なんとか起き上がろうとするが、追撃を受けてなかなか起き上がれない。攻撃をため始めたので、その隙に転移魔法でドラゴンの後ろに回り込むと、

ドッゴオオオオ!

さっきまでいた場所がえぐれて、近くにいたミノタウロスが数体、巻き添えを食らった。食らってたらとんでもなかったな、これ。

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