第2話 始まりの事件?
放課後は、小学校が不気味に感じる。
友達と勉強したり、遊んでいる時間はまだいいけれど、帰る時間になってしまったり、先生達も帰ってしまって誰もいなくなったくらい校舎は、そこにあるというだけでも不気味で近寄りたくないと思う。
だけど――、学校に行かなきゃいけないのは分かってるから、翌日になるとまた学校へを足を運ぶのだ。朝見る校舎は、それほど怖くない――、と言い聞かせながら。
クラスで、僕に「トイレの花子さん」の話をしたさきちゃんが、行方不明になったと担任の先生が、とても悲しそうな顔をしてそう告げた。
先生が言うには、学校から帰る姿を見たのが最後で、誰もその後のさきちゃんをみていないのだそうだ。だから、誰か見た人はいないかと訊かれたけれど、誰も答えられなかった。
登校する時は皆で固まっていくのだけれど、帰りはバラバラで固まって帰る時はそんなにない。集団下校――っていって、決まった日に皆で帰る時くらいしか、そんな時はないと思う。
だから、誰もさきちゃんが家に帰ったのを見ていないのだ。
休み時間に「トイレの花子さん」のことをちょっとだけ調べてみた。
「トイレの花子さん」は、学校の怪談っていう怪談話の中の1つで、いつの頃からか分からないけれど語り継がれている都市伝説のようなものらしい。
色んなパターンがあって、どれが正しいのか分からないけれど、でも最後は必ず校舎のどれか1つの、しかも1階のトイレの端っこにいて、ノックすると返事は返ってくるけれど、誰もいない――っていうものみたい。
さきちゃんはどうして、そんな話を僕にしたんだろう。
「トイレの花子さん」がどうしたって言うんだろう? それを知っているさきちゃんが、どうしていなくなっちゃったんだろう?
何か理由があるんだろうか。
ちょっと考えて、僕は「トイレの花子さん」――正しくは、学校の怪談――っていうのを本格的に調べようと思ったんだ。学校七不思議の中に入っていると、ある本にはそう書かれてあったから、それなら丁度いいかって思ったのもある。
だけど――、それがまさかあんなことになるだなんて、この時の僕は思ってもいなかった。何も考えずに思い付いたことを、悔やんでも悔やみきれない。
こうして――、僕と周りを巻き込んだ奇妙な「事件」は、幕を開けることになってしまったんだ――。
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