第47話 神戯の狭間~ジークフリード=アルカナイン~
前世の自分、透夜と話しをしたジークは
温かい空間に包まれ目を閉じた
目を開けたジークは
白い空間のまま変わっていないが
冷たい、張り詰めた感情が
ある空間に変わったのだと理解し
少し身構えた。
『私の体は楽しいか?
紛い物。』
厳しい声色が聞こえ、振り向くと
ジークフリード=アルカナイン
ゲームのジークフリードが目の前に立っていた。
「ジークフリード、、。」
『甘いな貴様は。
なぜ、有象無象を気にする。
ましてや犯罪者や敵対者などに
情をかけるべきではないな。』
これまでの事を見ていたのか
知っているのであろう発言をして
厳しい視線を向けるジーク。
「それは、、、分かっているつもりだよ。
だけど、少しの可能性を信じてみたいんだ。」
ジークへと心の内を明かした。
『はっ、どうせ私の時とは
違うと思っているのだろう。』
馬鹿にしたように嘲笑ったジーク
『違うかもしれないが
悪は悪だ。お前は
可能性を信じると言って
逃げているだけだ。』
ジークの発言が
カッとなって反論する。
「違う!!僕は!!
もしかしたら変わってくれるかも
しれないと思ってー。」
言葉の途中にジークの発言が被せられる。
『違うな。お前は逃げているだけだ。
責任から。全てから。
お前こそ。勇者と同じではないか。
見るものだけを見て他を見ようとしていない。
お前はそれでいいのか?』
ジークの発言に口を紡ぐ
『忘れるな。ぬるま湯に浸かるお前は
全てにおいて甘い。』
『思い出してみろ。お前の甘さは
時に美徳だが、馬鹿には理解ができん。』
ジークの発言に
心に闇を抱えていた。
「じゃあ、どうしろっていうんだよ。」
『なに?何と言ったんだ?』
ジークが発言する。
「じゃあ!!どうすればよかったんだ!!
悪は全て殺せと?!
敵を作りすぎてしまう!!
そんなことをしていたら!!
同じになってしまうじゃないか!!
それ位お前も分かってるだろ!!」
『フフッ。やっと言ったな。』
ジークがやれやれと言った
態度をとる。
『考えは悪くない。私の為に
考えてくれるのはうれしいと思っている。』
ジークが苦笑いをしながら
『だが、少し傲慢になっても
いいんじゃないか?』
ジークが発した言葉は
ストンと綺麗に落ちた。
「傲慢に、、、。」
『そうだ、今のお前は
聞き分けのいい子供だ。
それではいいように利用され
いつか取り返しのつかないことになる。』
ジークの言っていることは
的を射ていると感じた
『わがままを言ってもいいんじゃないか?
出来ないものは出来ない
無理なものは無理
嫌いなものは嫌いだと』
ジークはなだめる様に
『私を救うと言っておきながら
救うために疲弊しては
意味がないだろう。』
「そうか。僕は、、、。
俺を大事にしていなかったのかもしれない。」
ジークの言葉に
『私はお前だ
主導権はお前が握っている
後は好きにするといい。
すまなかったな。』
あの、ジークフリードが謝る。
「大丈夫。俺とお前は
二人で一つだ。傲慢さと甘さ。
二つ兼ね備えてもいいことじゃない?
どちらもジークで俺なんだから。」
『フッ、そうだな。
お前の甘さは私の傲慢さで
やっと釣り合いが取れるだろうな。』
「ありがとう。ジーク。
これからも一緒に行こう。
俺とお前の未来は絶対に変える。」
『なら、私もお前の中に入るとしよう。
そう言ったジークは
透夜と同じように左胸へと手を伸ばし。
『お前と私が作る未来。楽しみだ。』
ふっと笑ったジークが
『暖かいな。』
ジークが優しい笑みを浮かべる。
「これは俺と皆。そして
ジークフリードの暖かさだ。」
『そうか、私は
冷酷な人間ではなかったのだな。』
透夜の時と同じように
体が薄くなり消えていくのだと理解する。
「俺と一緒に居てくれ。ジークフリード。
お前に見せてやる。変わる。ジークフリードの人生を。」
『フフッ、楽しみだ。』
温かな光に包まれ
光輝いた場所に
目を開けていられなくなった
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