第40話 おいおい、どうなってんだよ


馬車を止め、動物を狩り

食事をとる

そんな生活が数日続いた

馬車の中は平和そのもので

盗賊などにも合わずに

着々とエルフの里へと

進んでいたある日。


「そういえば、このアーティファクトは

どこで手に入れたものなの?」

ジークが広間でゆっくりしている

ルミエラに尋ねた。


「これは。大切な人から譲り受けたものだ。」

一瞬、悲しそうな顔をしたルミエラ


「そうなんだね。」

ジークはルミエラの反応から

それ以上の追及は悪手だと考え

だまった。


「あれから、まぁまぁ経ったが

そろそろついてもいいんじゃねーか?」

ジェイドが話題を切り替える。


「エインダーデだったかしら。

またとんでもない場所よね。

なにもないといいのだけど。」

エリスも発言をする。


「そうだな、あと数時間ほどで着く。

もう少し待ってくれ。」

柔らかな笑みをジークに向けるルミエラ


「少し、昔の話をしていいか?」

ルミエラが少し真面目な顔になり

三人に問う。


三人は頷きルミエラからの言葉を待ったー。



ルミエラがエラクゥスの名前を使っていた頃


「なに?人族数名がエインダーデへと

入ってきている??」

ルミエラの母マリアが

何やら話をしていた。


「旅人のようですが

どうやら、隠蔽を部分的に解除し

侵入してきたとの報告が。」


緊急事態なのか

周りがざわめきだす。


「ひとまず、近衛と私が行こう。」

マリアと近衛たちは

エインダーデの森へと向かった。


私は気になって

得意の隠蔽魔法を使って

後をつけることにした。


しばらく森を歩いていると

近衛が構えを取り

戦闘態勢に入った。


構えている近衛の先から

話をしている四人の人影が

こちらへと近づいているのが分かった。


「ジグルド!!本当に入って良いのか?!」

何やら騒いでいる人族の男と思われる人物と


「知らね。解除出来ちまったんだ。

入っていいってことじゃないのか??」

何が悪いのかさっぱりわからなさそうな

顔をしている男がいた。


「そこの者たち!止まれ!!」

近衛騎士の一人が

声を荒げ

人族の四人は止まり

敵意の無い証明の為

手を挙げた。


「エルフ?!エルフだぞ!!ジグルド!!」

手を挙げながらも

ジグルドと呼ばれた男を

焦った顔で見る人物


「ゼール。騒がなくても分かってるって。」

やれやれといった顔をしたジグルドと呼ばれた男


「ゼール、あなたは落ち着くべきでしょう。

ましてや騒ぐなんて、、。」

はぁとため息をついた女性


「すごい!すごい!エルフだ!!

実在していたんだ!」

手を挙げながらも興奮を

抑えきれないモノクルをかけた

男性


「何用でこちらに参られたのかな??」

母、マリアが質問をする。


そこからは

主にジグルドと呼ばれた男が

代表として母と会話していた。


「そうか、わざと入ったわけではないのか。」

母、マリアが自分の考えを落とし込む。


「えぇ、もし立ち去れというなら

立ち去ります。」

深く礼をしたジグルドは

マリアからの返答を待つ。


「隠ぺいを解除した腕といい

大した才能だ。

少しの期間滞在を許可しよう。

名前は?」

マリアの言葉に

ジグルドは深く礼をした後。


「ジグルド=アルカナインと申します。

王国では公爵の地位を賜っております。」


それがルミエとジグルド=アルカナインが会った

最初の機会だったー。



「先祖様はすごい技術の持ち主だったんだ。」

ジークはほ~と聞こえそうな

顔をしており

二人もえぇ、、、と困惑していた。


「面白い男だった。

私の知らぬ外の世界の話

旅をしてきた国々の話。

私以外にも奴の話を聞いて

外の世界に興味を持ったものは多いだろうな。」

にこりと微笑んだルミエラに

ジークも笑みを返す。


「ついたようだな」

ルミエラの言葉から

エインダーデ付近についたのだと

三人は理解した。




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