第37話 おいおい、今から?!



自分の部屋へと戻ってきていた

ジークは今後の予定を考えていた。


(もう、考えても無駄かもしれない)


現在進行形で進んでいる状態は

既にゲームから逸脱しており

ジークの頭は混乱していた。


(なるようになれだ!!

学院に行くまでは流れに身を任せよう!!)


ジークにしては珍しく

長いもにまかれる決断を下していた。

学院の試験も

今のジークにとっては

些細なことだろう。


(勉強しなくても

合格は出来るレベルだ。)


前世の知識を含む今のジークは

教壇に立っていてもおかしくはない程の

知識を持っている。

ぎりぎりまで遊んでいても

大丈夫なほどだ。


そんなことを考えていると

扉をノックされジークは

また書斎へと戻るのだった。


書斎の扉を開くと

カナンとルミエラさんは

打ち合わせテーブルに座って

紅茶を啜っていた。


だが、少し妙な雰囲気だった。

ジークが薄っすらと気づくほどだったが

そこが少し気になった。


「待たせたね。ジーク

ルミエラさんからの話は聞いたよ。

ジークにはルミエラさんの故郷へと

行ってほしい。大丈夫かい?」

カナンの笑みが少しぎこちなかったのが

気になったがジークは承諾した。


「ジークよ。あの二人もつれていくのだろう?」

ルミエラが言っているのはエリーとジェイのことだろう。


「そうだね。確認を取らないといけないけど

なるべくなら一緒に行きたいかな。

いいかな??」

ジークはルミエラに尋ねる。


「構わないだろう、大勢でぞろぞろ行く

わけでもない。私もいるし大丈夫だろう。」

ルミエラは顔が広いのかな?

そんなことを思うジークだった。


「その二人に話をしに行くんだろう?

今日か明日にでもここを立ちたい。

ジークは大丈夫か??」

紅茶をすすりながらルミエラは

ジークに言った。


「今日か明日?!

早すぎない?!」

ジークは騒いだが


「ジークの試験までには

戻ってこなくてはならないからな

早い方が何かと調整しやすいだろう?

ポーションの件もあるしな。」

ルミエラは少し笑うとそう言う。


「ん~確かに、、、。

早い方がいいかな?」

ジークは確認も込めてカナンを見るが

カナンはなぜか目を合わせずに

目線をそらした。


「とりあえず、二人には話をしに行くよ。」

ジークはそう言って書斎を離れようとする。


「私はカナン公爵ともう少し話しておくよ。」

ルミエラはそう言いながら

書斎からジークを見送った。



ジークは前に教えられた

酒場の扉を開ける

酒場の客は

音のなった扉に目線を向ける。


中に入ったジークが

ジェイを探していると


「おい、坊主。ここは

おめーのようなガキが

いていい場所じゃねーんだ。

帰ってママのおっぱいでも吸ってな」

五人ほど座れるテーブルを囲んだ

男たちが

言葉を発した男に同調して

ぎゃはぎゃはと笑っていた。


「人を探しに来ただけだから。」

短くそう言ってカウンター席に目を向けると

グラスを持ったジェイがいた。


声をかけようとジェイへと

歩みを進めると

笑っている男の一人が

ジークの足を引っかけようと

足を出してきた。


「はぁ、、、」

ジークはそれどころではないので

蹴らずにぴょんと飛び越え

ジェイのもとへと行こうとするが


「あ~いてぇ。これは折れちまったかもなぁ。」

またしても下品な笑い声と

同時に男が席を立つ。


次第にイライラしてきたジークは

殺気を放つ。

男たちはたじろぎ

ジェイもジークの殺気に気づき

グラスを持ちながら

こちらに来た。


「おう、ジーク。こんなとこ来るなんて

珍しいな。ん?もう朝か。

殺気なんて飛ばしてどうしたんだ?」

ジェイはジークに問いかける。


「こいつらが僕の邪魔してきてさ。

あまりにも酷いから少し痛い目見て

もらおうかなと思って。」

ジークは男たちを睨む。


「お前ら。ジークはやめとけ。

黒き死神、最近聞いたことあんだろ?」

ジェイも少し威圧をかけ男たちへと

話す。


「「最年少ダンジョン踏破者

ジークフリード様?!」」

酒場の何人かは

ジェイの声が聞こえたのか

声を出していた。


「ったく、お前ら、まだ

ジークが温厚でよかったな。

この前のがここでも起きたら

お前らは一瞬で死んでたぞ?」

ジェイは苦笑いを浮かべながら

ジークの髪をわしゃわしゃしていた。


「我慢できたんだな。」

ジェイは柔らかい笑みを浮かべていたが


「わ、急になに!ジェイ!」

ジークは子ども扱いされて

少し反抗的だった。


「っと、金輪際ジークにちょっかい掛けんなよ

お前らがでかい顔出来んのはカナン様のおかげだ

その息子にちょっかい掛けたら不敬罪でも生ぬるいぞ?」

ジェイがそう言うと無言で首を縦に振る男たち。


「わりーな。んでなんか用か??」

ジェイは謝りながらもジークが来た理由を尋ねる。


「ここではちょっと。歩きながらがいいかな。」

ジークが微妙な顔をしていたため

ジェイは大事な話だと気づき


「マスター。会計頼む。」

そう言ってカウンターに歩きだし

硬貨を何枚か置くと

ジークと一緒に外へと出たー。



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