第35話 おいおい、とんとん拍子すぎる


あれから寝ることを忘れ

ジークとルミエラは

道具屋で話し込んでいた。


「あとは人員と生産体制だな

店の場所も重要になってくる。」

ルミエラは紙とペンを置き

考え込むようなしぐさを取った。


「ルミエラさん親身になって

話を聞いてくれたありがとう。」

ジークは感謝をした。


「君の考えは

聞いていて面白い。

私は知識はあるが

ここまでの発想はなかった。

こちらこそ、お礼を言いたいくらいだよ。」

そう言いながらも

紙に視線を落とし考え込むルミエラ。


「どれくらい生産できるんだ??」


「一日1000個くらいかな??」

ジークの空白の一年間で

行っていたことの一つ

無属性魔法ー創造。

魔力によりある程度の

物質はジークが理解していれば

作れる魔法だ。


「申し分ないな。

後は人と場所か。」


「まずは使用人の皆に手伝ってもらって

そこから採用をしようと思うんだけど。」


「それでは間に合わない。

確実に人を手配してから

店を出さないと使用人は

店から離れられなくなるぞ。」

ルミエラさんが言うなら

正しいのだろう。


「父上に相談して人員と

場所の相談をしてみるよ。」

ジークがそう言い

ハーブティーに口をつける。


「父上、、、カナン公爵か

今から行くのであれば

ついていこう。

挨拶も兼ねてな。」

何やらルミエラに火が付いたのか

公爵邸についてくるらしい。


「ルミエラさん、楽しそうだね。」

ジークが思ったことを言うと


「君と話していると楽しいから

ついつい、いろんな考えが

浮かんできてね。」

ルミエラもハーブティーに口をつけ


「外は多分朝だ。迷惑じゃなければ

行きたいのだが、ダメだろうか??」

ルミエラは申し訳なさそうな顔をする。


「全然だよ!!行こう!!

鉄は熱いうちに打て!だからね」


「そうか。ありがとう。」

ルミエラはペコっと頭を下げると


「では行くか。」

手をかざしゲートを出現させる。


ゲートをくぐり

公爵邸まで話しながら

歩いたジーク達は

カナンの書斎へと足を運んでいた。


「ジーク、いきなり朝帰りって、、。

しかも、そんな綺麗な人を連れて

君にはエリスちゃんがいたと思うけど、、。」

少し苦笑いを浮かべたカナン


「ち、違うって!こちらは

ルミエラさん。これから話すことを

相談に乗ってもらっていたら

挨拶したいってことだったから!!」

ジークは慌てて早口で話す。


「カナン=アルカナイン様

ルミエラと申します。

ご子息のジーク様とはご縁があり仲良くさせて

貰っております。今回も私のわがまま故

お許しを。」

ペコっと頭を下げるルミエラ。


「こちらこそ。息子が世話に

なっているみたいだね。

ありがとう。ルミエラ殿」

カナンも頭を下げる。


「ところで、

失礼を承知で聞きたいのだけれど

ルミエラ殿は女性でよかったのかな?」

カナンは微笑みながら尋ねる。


「む、男に見えるか??

人族の認識だとそう映ってしまうのか。」


現在のルミエラは認識阻害を

していないため

エルフの中世的な顔だ。


「いや、お綺麗ではあったんだけど

少し迷ってしまってね。

失礼した。」

カナンが珍しく焦りながら

弁解をする。


「そうか。こちらも気を付けるとしよう。」


そこから

商売の話が始まった

人員や店の場所

売るものなどの話を

カナンにするジーク達


「ジーク、ついに商売まで

始めるのかい??

これはすごいことになりそうだ。」

カナンは笑っていた。


「今後を考え、何かと

必要になるかと思いまして。」

ジークはカナンを見る。


「場所だと

この位置だと公爵所有の

建物がある。

そこを使って構わないよ」

公爵領の地図を出したカナンが

指をさす。


「人員が問題だね。

どこかあてはないのかい??」

カナンが尋ねるが


ジークは考えていた。

首狩りの影はまだ使えない。

この国では奴隷契約は禁止となっているため

奴隷商などもない

どうしようかと思っていると

口を開いたのはルミエラだった。


「カナン公爵、許可が頂けるなら

エルフたちをこの領土に

住まわせることは可能か??」


ルミエラの言葉に

カナンは驚いた顔をしていた。


「こちらとしてはありがたい話だよ。

住居も提供しよう。警備もつかせる。

しかし、大丈夫なのかい??

エルフ族は故郷を大切にするものが多いと聞くが。

それに、エルフの集落は秘匿されていると聞くよ?

そこまで安全性があるかと言われたら

この領地は不安が残るかもね。」

カナンは個人的な感想を述べた。


「安全性に関しては不安はあるが

故郷を大切にするものが多いだけで

外の世界を見てみたいものは多い。

この件を橋掛かりに交流を深めるのも

エルフにとっては悪くないと思う。」


ジークを抜きに

話が大きくなりジークは

思考を放棄した。


「ジーク、すまないが

公爵との話を優先させてもらいたい。

少し込み入った話もしたいから

待っていてくれるか?」

ルミエラが時間が掛かりそうな

雰囲気を出していたため


ジークはルミエラに礼を言った後

書斎から退出する。



ルミエラ

意外とぐいぐいですね。

性別も判明しました





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