第28話 おいおい、何度も言わせんなよ。


ジークが会場で暴れてから

移動した三人は

控室に入ると腰を下ろした。


「ずいぶん、暴れたんじゃねーか?」

少しニヤついているジェイが

僕に話しかける。


「後悔はしてないよ。

あいつらが悪いからな。」


だいたい、こっちが悪いかのように

ふるまってきやがって

もともとはゾカの糞野郎が悪いだろうが。

思い出すだけでもイライラする。


「私は。その。嬉しかったわ。」

エリーも少しニヤつきながら

照れくさそうにしている。


「ならよかったよ。

エリーとジェイは僕のだ。

絶対に離したりしない。」

真面目な顔で二人を見ると

エリーは勿論だが

ジェイすら照れくさそうにしていた。


「貴族どもはどう思ったんだろーな?」

ジェイが照れ隠しなのか

頬を掻きながら質問してくる


「知らないね。正直どうでもいい。

エリーとジェイが無事だったこと。

それだけでいい。

どう思われようが知ったことではない。」


「ま、そーか。ありがとな。俺たちの為に。」

ジェイがお礼を言ってくる。


「いいよ。気にしないで。

それより、あんなことをした手前。

僕は帰った方がいいと思うんだけど

どうかな?」

話を二人に振ろうとしていた時。

扉をノックする音が聞こえた。


「国王陛下がいらっしゃいました。

話を聞きたいとのことなので。

別室でお待ちです。」

メイドの声が聞こえ話は中断された。


「ほんとに面倒だよ。

何事もなく終わるといいんだけど。」


三人は席を立ち扉を開けた。


メイドに案内され

一番豪華な装飾がされてある

扉の前に立つ。

メイドは礼をし

ここからは僕がやるんだと

理解した。


「ジークフリード=アルカナイン。

エリス=ベリクリン。

ジェイド=ブルックナー。

参りました。

入室してもよろしいでしょうか?」

僕の声に無言で扉が開く。


中にいたのはこの国の王

ブライド=フォン=デライド

宰相のミハイル=エゴンズ


糞野郎のゾカ=グルブワと

父親のギア=グルブワ


そして主人公のグルジオと

後見人であるベリル=カルティ

ベリルはすごく申し訳なさそうに

ジークを見ていた。


そして突っかかってきた女

アリーシャ=グレイブ


ジークの父上カナンだ。


即座に頭を下げようとするが


「よい。この場は非公式の為。

礼など不要だ。」

そう言いながら手を少し上げ

止の姿勢をとる国王ブライド


「は、この度はお騒がせしましたこと

申し訳ありません。ですが私は

悪いことをしたとは思っておりません。」

僕は正直に思たことを話すと。


「はっはっはっはっは!私の前で

はっきりとモノをいうやつは久しぶりだよ!」

よくわからないがゲームの印象と違い

理知的でもあり剛健な声色でブライドは笑っていた。


ゲームのブライドとは違う??

今はまだ傀儡にはなっていないのか??

そう思っていたが。


「さて。少し話そうか。」

真面目な顔でこちらを見るブライド


これから貴族の戦いが始まると

ジークは思ったのだった―。



「この度の件はジークフリード殿の供回りである。

エリス殿をゾカ殿が無理に誘おうとしたところを。

ジェイド殿が止めたことでゾカ殿が逆上。

ジークフリード殿が止めに入るもさらに逆上し

口論に発展ということでよろしいかな?」

宰相のミハイルが尋問官の様に尋ねてくる。


「「「間違いないです」」」

僕たち三人はうなずいた。


「口論の末。ジークフリード殿の

我慢の限界が来て剣で何かをしようと思ったところ。

止めようとアーサー殿が割り込んできたことで

さらに口論となり。アーサー殿の四肢をジークフリード殿が

斬り飛ばした。尚、傷は完治でこのようにぴんぴんしていると。

素晴らしい魔法の才ですな。」

ミハイルの言葉に頭を下げる。


「気を失ったアーサー殿をそのままに

ゾカ殿へと話をつけようとしていた

ジークフリード殿にアリーシャ殿が

皮肉を言いに来たためジークフリード殿は

重力魔法で対応した。」


この発言に間違いはないか

聞かれるが。


声を上げたのは

アリーシャと

ゾカだった。


「私は!皮肉のつもりなんて!」

「俺は被害者だ!!」


黙っていればいいのに

騒ぐ馬鹿ども。


「お静かに。ジークフリード殿

何か弁明はございますか?」

ミハイルはこちらを見る


「いえ、何も。」

そう言い切る。

ミハイルが今は味方かどうかわからない

既に実質的な権力があるなら

正直に話した方がいいだろう。


「そうですか。では私から。

随分派手に暴れたようですが。

もう少しおさめる事は出来なかったのですか?」

ミハイルの鋭い目線がこちらを見る。


「無理ですね。

貴族としてのプライドもあります。

同格の家柄だとしても。

相手を貶していい理由にはなりませんし。

ましてや今回の主役は彼や彼女も含まれます。

大切な人たちを貶されて平気な人間などおりません。」


「そうですか。確かに今回の件に関しては―」

ミハイルが何やら言っていると


「被害者への賠償が普通だろうが!!」

「被害者への賠償を要求するわ!!」

アホ共は

とんでもないことを

言い出したのだ。


「賠償、、、ですか?」

ミハイルが苦い顔で二人を見る。


「そうだ!!今回手を出してきたのはあいつだ!!」

「注意をしに行ったのにあんなことをするなんて!!」

二人の怒りは収まらないらしい。


「今回の件に関しては無闇な接触を図った

あなた方のせいだと思いますが。

それも分からない程に無知なのでしょうか?」

ため息をついた

ミハイルもどうやら

こちらの味方に付いており

ゲームとは印象が違った。


「ふざけるな!!エリスを酒飲みの屑と無能の屑

の元へ置いておくより俺のそば仕えで可愛がってやるのが

いいと思って提案したんだ!!」


「貴族として力を持つ者ならそれ相応の

対話を持つべきよ!!力で征するなんて

貴族としてあるまじきことよ!」


またもや、持論を展開する馬鹿ども

ジークはカナンを見ると

頷き陛下の元へと行き

耳打ちをしだす。

しばらくしてこちらを見て頷くカナンを見て


「はぁ、、、、何度言わせれば気が済むんだ??」

ジークの殺気と重力魔法で地面へと

体を押さえつけられた二人を見る。


ゾカが憎しみを持った顔で

こちらを見ながら

口を開く


「屑共の集まりに屑の女だったとはな。」


その言葉に

ジークは我慢できなかった。








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