第27話 あの時のジーク

ジェイド=ブルックナー


馬鹿な貴族の顔を見た俺は

こいつは死ぬなと思った。


俺でも全身が震える程

圧力を感じて意識を失っていないだけ

すげー奴だとほめてやりてぇ


ジークの殺気は

今までで一番大きく

それでいて信頼するものには

心地よく感じるほどの力

男の俺ですら

守られていることに心酔する

いわば優越感に等しい

不思議な力をジークは出していた。


(やっぱりこいつはただ者じゃねぇ。)


これでまだ成人の12歳を超えていないのだから

どれほどやべぇのか理解できない俺じゃねぇ。


初めて会ってから1年

ジークと過ごしてきたが

俺らに何かがあると

こいつは急に怒りだし

親バカよりも強烈な

バカになる

あいつの息子だから

仕方ねぇとは思ったが

やはり異常な執着を持っている。


こんな奴に愛された奴は

とんでもねぇ

甘々になっちまうだろうな


そう思いながら

ジークの斜め後ろに立つ

紫髪の女を見る。


お前の未来の夫候補は

とんでもねぇやつだぞ


ニヤニヤが収まらない俺は

ジークへと向き


こんな楽しみを知っちまった俺の責任

取って貰わねぇといけねーぜ?ジーク


そう心で語り掛けるのだった。






エリス=ベリクリン


私に言い寄ってきた貴族のバカ息子を

相手に冷静に対処していたジーク。

このまま穏便に済むと思ったのもつかの間


そいつは

言ってはいけないことを言ってしまった。


私たちを咎めたり貶したりすること

軽く扱うこと。


初めて会ってから

この一年間でジークの

考え、行動などを見てきて

本当に私たちは大切にされているんだと分かった。

そして、二重人格かと思うほど

豹変する瞬間があることも理解していた。



大切なものを傷つけられること。


今の彼はあのカナン様をも超える

不気味で恐怖を煽るような顔をして

今にでもそいつを殺そうとしていた。

カナン様の方へと視線を向けても

優しそうな顔で

ジークを見ているのみで

止めようとはしていないのが分かる。


この場を制する重圧。

それはこの者たちにはきつい空間だろう

だけど私たちには

すごく安心できる空間だった。

信頼するものにはこの力は

とても艶めかしくそれでいて包容力のある

優しい気持ちに包まれる。


こんなにされて

もう私は普通ではいられなかった。

もう無理だった。


(ジーク様、、、しゅき。)


頭の芯から蕩けるようなこの感覚のせいで

私の感情は既にジーク一人に握られている。


ジーク様の気持ち、想いは

私の傷がついた心を癒してくれる。

最初の動悸は自分本位だったけど

今ではその全てが愛おしく

最愛の人だと断言出来る。


ジーク様

私はもう貴方様しか見えません

この責任取ってくださいね?

周りが戦慄する中

多分、私は女の顔になっていた。




カナン=アルカナイン


これは、陛下に後で小言を言われそうだよ。

ジークの力を目の当たりにし

僕は内心でため息をつく。


もちろんそれは自分のせいであることは

分かっているため。

カナンはジークを叱るつもりはない。


(しかし、本当にすごいねこれは。)


自分にまとわりつくような感覚。

黒い感情なんだろうが

僕にはすごく安らかに感じる。

周りは苦しそうにしているが

僕は子供の愛情を感じ

ニヤける顔を収められない。


(二面性のせいなんだろうね。)


カナンは自分で考えたジークの成り立ちや

感情面での行動から

ある程度の理由は分かっていた。


(憎むべき存在には死をも連想させ。

信頼を寄せたものには無条件の愛を囁く)


本当に裏と表がはっきりしている子だ

そんなところも愛おしかった。


(本当に君が息子でよかったよ。)


こんなにも温かくそれでいて

大切にされている感情を感じ

嫌な気分になる親などいないだろう。


エミリーがこの場にいたら

嬉しすぎてどうなっていたか分からないね

彼女がこの場にいなくてよかった。


そう思うと同時に

これは子供として親孝行の

責任を取ってもらわなきゃね。


少しの微笑みの後

真顔になったカナンは

ジークへと近づいていく。






ルイス=カルティ


その光景を見て

私は興奮していた。


勇者勇者だと持て囃されて

少し調子に乗っていた

彼をジーク様は一瞬で

切り伏せてしまった。


(あぁ、ジーク様、、、

私にもその感情を向けてください。)


今の私にかかる圧は尋常じゃないが

ジーク様の後ろにいる二人を見ると

幸せそうな顔をしているのが分かる。


公爵邸を出発する時

挨拶はしなかった


カナン様が戻ってこれるよう

手配をしてくれると言っていたし

何よりジーク様に

私を刻み付けたかった。


私が何も言わずに去ったら

彼は悲しむだろうか

私の事を考えるだろうか


ずっと傍に居た私を

居なくなってから

求めてほしい

そんな思いだった。


(でも、やっぱり、ずるい。

きっと信頼している者には

この圧は愛なのだわ。)

私は少しでもジーク様の目線に入るように

少しずつ移動する。


(ジーク様、私の愛を受け取ってください。

私を見て。そして、私にも愛を注いで。)

そう思ったのもつかの間

カナン様が近づき

何かを言うとジーク様の圧力は

少しずつ収まっていった。


(なんで!!ジーク様!!私にも!!

私にもください!!)


ジーク様は踵を返すと二人を連れて

どこかへ行ってしまった。


(嫌だ!!嘘だ!!ジーク様!!

私も連れて行ってよ!!)

黒い感情が心をどす黒く染めていく。


ジーク様ジーク様

あなたの視界に入れるように

私はいい子でいます。


ジーク様ジーク様

私はあなたの愛を貰うためなら

何だってします。


ジーク様ジーク様

私をあなたのおそばに


ジーク様ジーク様

私は何番でも構いません


ジーク様ジーク様

私も愛してください











ジーク

だから、裏切らないでね?








私の黒い視線は

ジークをずっと追っていた。



エリー蕩けちゃって可愛い

ぎゃんかわっっっっっっっ!!

ルイス、、、可愛いけど可愛いんだけど

すっっっっごく怖いよ!!

ジェイ、君は、、、、ノーマルだよね??

最愛の人いるもんね?!

カナン様幸せそうでいいなぁ。


PVがいきなり増えまして

少し露出の機会が

あったのかなと思います。

フォロー数も気づいたら

400目前で

非常にうれしいです!!


熱量を失わずに頑張っていきます!!

いつもありがとうございます!!

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