第26話 おいおい、調子に乗るなよ?

俺の発した言葉に委縮したクズは

こちらをにらみつけていた。


(クズだが血筋は優秀だな。)

少し感心するが俺は言葉を続ける。


「お前はどの立場で物を言っている?

お前こそ

力もない。礼儀もない。考えもない。

あるのは公爵家の血だけ。

何もないクズのお前こそ

誰に物を言っているんだ?」

さらに殺気を高めていく。


(こいつだけは許さない。)


クズは恐怖の顔を浮かべ

近づく俺から逃げようとするが

蛇に睨まれた蛙のごとく

その場から動けずにいた

レヴィを呼び出し

腕の一本でも切り飛ばそうかと

近づいていくと

一つの人影が間に割り込んでいた。


「そこまでにするんだ!!この人は

そこまで悪いことをしたわけじゃないろう!!」


記憶に焼き付くほど見た

金色の髪を持つ男-勇者あるいは主人公がいた。



「そこまで悪いことをしたわけじゃない?

はっ、黙れ無能が

邪魔をするな。

そのクズから腕を一本貰うだけだ。

使っていないんだから不要だろう。

足でもいいが。」

低い声で威圧をするが

そいつは避けようとしない。


「そんなこと!!許されていいことじゃない!!

話し合いで解決できたはずだ!!」

主人公はくだらない話を俺にしてきた。


「許す?誰が?誰に?

俺が、誰に許しを請うというんだ?」

レヴィを主人公に向け言葉を放つ。


「お前みたいな傲慢な奴がいるから

困る人たちが出てくるんだ!!」

剣を向けられても引かないところは

流石の主人公だ。


俺は呆れ果て口から息を少し吐く。

「だが、やっぱり、無能は無能のままなんだな。

それがお前の考えなのか?」

レヴィを下げると少し安心したのか

憎たらしい顔でこちらをにらみつける主人公


「そうだ!話し合いせず。

一方的な暴力は力を持つ者としては

あってはいけない!!」

主人公は言い分を曲げないでいた。


「そうか、話し合いか、、、、。」






「調子に乗るなよ?」




その言葉を発した瞬間

レヴィで主人公の四肢を切り飛ばした。

キャーと女の声が周りから聞こえるが

そんなこと知ったことではない。

驚いてクズも倒れているがどうでもいい。


「馬鹿か?お前は、そんなんで解決したら

こんなことにはなってねーんだよ。

そんなことも分からないのか?

モンスター共とも話し合えばわかるってか?

なら無様に死ね。

前提から間違っているんだよ。お前は。」


主人公はうめき声をあげながらも

意識は保っているのか俺をにらみつけながら

「モンスターと人は違う。」

短くそう言った。


「モンスターと人は違う?ハハハッ

本当にお前は傑作だ。

何が違うんだ?姿形か?種か?

言語を介すか介さないかか?

なら話が通じない人間は切って捨てていいよな?

お前の考えはただの押し付けだ。

見るものだけを見て何も知ろうとはしない。

お前は本当に、、、、無能だ。」


俺の言葉を聞き意識を失った主人公


治すのは癪だが死なれては困ると

即座に完全なる回復オールオブヒールをかける


苦悶の表情から安堵の表情へと変わり

四肢も回復した主人公は

回復しても意識を失ったままだ。


床に転げ、だらしなく下を濡らしている

ゾカを見ながら

「今度もう一度俺のものに手を出してみろ。

次は容赦しない。貴様を殺す。」

そう言ったが既に意識を手放したクズ。

もう用はないと立ち去ろうとするが。


「待ちなさい!このような場所で

剣を振るうなど。正気の沙汰とは思えないわ。」


俺が殺される瞬間に主人公の横にいた

気の強い女

アリーシャ=グレイブがいた。


「はぁ、次から次へと。

まずは、名乗ったらどうだ?

常識しらずの女。」

殺気を含め睨みつけると

アリーシャはたじろぐが


「あら、常識はずれの貴族に

常識を諭されるとは思わなかったわ。」

少し震えながらも反論してくる。


「突っかかる理由があるのか?

俺は間違った行動はしていないと思うがな。

それに、俺は公爵家の息子だ。子爵の家の

女ごときが。頭が高い。」

ピンポイントで重力魔法をかけると

アリーシャは這いつくばるように

体を崩した。


「お前は何を言いたいんだ?

俺に謝らせたいのか?

なら始まりはそこで

気絶し漏らしている

クズが悪いだろう?

それとも、勇者に無礼を働いたことか?

貴族同士の問題に口をはさんだ

第三者の無能が悪いと思うが、、、。

俺は誰に謝ればいいんだ?」

低くうなるような声で聴くが

アリーシャは言葉を発さない。


「反論もなしか。くだらないな。

所詮そこまでだ。

お前も何も見えていない。

言葉を押し付け悦に浸り

自分たちを正当化する。

ふざけるのも大概にしろよ?

自分が殺されないとでも思って

調子にでも乗ったか?

お望みなら殺してやろうか?」

重力魔法の力を強めようとするが。


「ジーク。もう止めよう。

今回のことは陛下に話すつもりだ。

今から陛下も来る、このような雰囲気では

アルカナイン公爵家が悪くなるよ。」

後半は俺にしか聞こえない声で話すカナン。


「わかった。父上。

少し頭を冷やしてくる。」

カナンに話した後


「おい、そこの女。

これ以上俺に関わるな

次は一瞬であの世へ送ってやる。」


そう言いながら

二人に声をかける。

「エリー、ジェイ大丈夫か?

心配かけた。行こう。」

殺気と圧を少しずつ弱めて行き

二人を連れ控室へと戻る。

一つの熱く暗い視線が気になったが

無視をして歩く。

ジークが歩く度、人垣が霧散していき

ジークは少し面白いと思うのだった。


ジーク様やっちまってくだせぇ!

いけいけ!いいぞぉ!


他視点入ります。

読み飛ばしてもいいですが

見ていただいた方が

いいかと思います。


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