第25話 おいおい、ふざけんなよ?

豪華絢爛な装飾

綺麗に盛り付けられた食事

気品あふれる雰囲気

各々の貴族が談笑する中

壇上に立ったカナン。


ジーク達が未踏破ダンジョンを攻略したことで

カナンは貴族や大勢を呼んだこと

それに答えてくれたことに感謝を述べた後

ジーク達を祝福するパーティーを開催すると宣言する―。




「パーティー?ですか?」

ジークは急なカナンからの話に疑問符を浮かべた。


「そう、ジーク達は長い間

未踏破だったダンジョンを攻略し

ディアブロの主戦力壊滅まで至った。

ディアブロの件は秘密事項になっているけどね。

ダンジョン攻略をどこから

嗅ぎつけたのか貴族の各方面から

パーティーを行ってみては

どうかと話が上がっていてね。」

カナンは少し息を吐くと


「本当に面倒だよ。

息子を値踏みするクズどもが。」

カナンから感じる圧力が増していき

相当に怒っているのだと分かる。



ジークも分かっている。

エリーとジェイが専属になった事は

すぐに広がりジークはいったい何者なのか

実力があるのか

それとも無理やり付き従えているのか

どんな人物なのか

数々の噂話の中心に立っていた。


カナンの言いつけにより

最小限にさせられていたジークは

周りからは情報が出てこない

不気味な存在となっていた。


「全く、本当に嫌になる。

12歳まで待てない。

堪え性のない者たちだ。

ぎりぎり持つと思っていたんだけどね。」

カナンは圧を少しずつ減らしていき

ジークのほうを見た。


「うちが主催のパーティーだ。

つまり、アルカナイン家がルール。

何かあった場合は力でねじ伏せても構わないよ。

御せる存在だと思わせない位には暴れてもいい。

例え、陛下だろうが宰相だろうが

騎士団長だろうが、ね。」

そう言いながらニヤッと笑った。


陛下はさすがにダメでしょ!

その言葉をジークは飲み込んだ。


「パーティーではどのような面々が

参加するんでしょうか?」

ジークは素直に気になったことを聞く。


アルカナイン公爵家は最上位貴族だ。

ましてや現当主カナンの実力、手腕は折り紙つき

その息子が未踏破ダンジョンを攻略したのだ

見に来ようとするものは多く

断るものはそうそういないだろう。


「そこが面倒事の一つだ。

ほぼすべての貴族が来る。」

カナンの言葉に沈黙が続いた。


ジークは口をはの字に開き驚愕していた。


「本当に面倒なことだよ。

寄り親の上位貴族たちも下の貴族が

仲良くなれれば御の字と思って行動してくる。

流石にジークを

隠しきれなくなってしまうね。」


「ひとまず、僕の方で何とかするから

ジークは堂々としてればいいよ。

これが僕の方で注意をしてもらいたい

貴族のリストだ。

さっきも言ったように

力をある程度見せても構わない。

僕も面倒ごとで気が立っている。

少しは憂さ晴らしをさせてもらわないとね。」


リストをもらった後ジークが見たカナンの顔は

黒い笑顔を浮かべ。これまでにないくらい

邪悪な感情を表に出していた。


「あぁ、それとジークの言っていた例の件

調べ終わったみたいだ。

中々に闇が深い。パーティが終わったら

報告書に目を通しておいてくれ。

リストには関係のあるやつらばかりだしね。」


カナンには敵わないと

ジークは思ったのだった―。






「噂のジークフリード様は大変だな。

こんな貴族どもがいる

戦場まで戦わなきゃなんねぇんだからな。」


「やめてよジェイ。僕だってこんな面倒ごと

さっさと終わらせたいよ。それよりジェイ

普段とは全然イメージが違うね。

その恰好似合っているね。

僕は誇らしいよ。」


普段とは違いグレーが基調の

スーツ―礼服をピシッとまとったジェイは

僕の横に立つと軽口をたたいた。


「令嬢どもがすごい目でジークを見ているぞ。

あれは獲物を狩る目だ。

ジークの挨拶回りが終わったら

すぐにくる勢いだぞ。」


ジークとジェイは盛り上がっていると

「ジーク、私はどうかしら?」


後ろから声をかけてきた声に振り向くと

エリーがドレスを纏って立っていた。


瞳は潤んだグレージュに

誰しもが見惚れる美しい顔

髪が紫色に輝き

ドレスは黒を基調としている。

エリー、、。着やせするタイプだったんだね。

黒は僕の髪の色の為、絶対黒がいいと

エリーが頼んだんだそうだ。


「もちろんとても似合っているよ。

ほかの誰にも君を見せたくない位だよ。

本当に、とても綺麗だ。」

本心から出たくさい言葉に

自分で恥ずかしくなるが

僕は言い切った。


エリーは顔赤くしこちらを見ながら。


「ありがとう。その、とてもうれしいわ。

ジークもとても似合っているわ。」


僕の服は黒を基調とした礼服だが

全体的に装飾され。

シンプルだが圧倒的な存在感を放っている。


「ありがとう。エリー。嬉しいよ。」

そう言ってにっこり微笑むと

エリーは目をそらしてしまった。


しばらく、三人での話を楽しんで

挨拶回りにでも行こうとした矢先

少し体格のいい、、、ふくよかな体型をした

男が近づいてきた。


「おい、エリス。

俺と踊ってくれよ。」

まだ、貴族同士の

挨拶回りも終わっていないのに

失礼な言葉を放つその男は

エリーの腕をつかもうと手を伸ばすが。


「それはダメってもんだろ。

紳士としちゃぁ、あるまじき行動だ。

それに、俺らは供回りでな。

これから、挨拶回りだ。

そんな時間はねーんだ。」


ジェイがその腕を掴みエリーに触れる前に

阻止する。


「なんだ貴様?!俺を誰だと思って

、、、お前はジェイドか?

騎士団長まで登った割に

力もなく落ちこぼれた酒飲みの屑が!!

俺の手をつかむな!!」

そう言いながらジェイの手を振りほどくと

怒りに顔を赤らめ呼吸を荒くしていた。


急な怒声が発せられた会場は

静かになり、視線の中心は

ジークたちに向けられた。


ひそひそと声が上がる中

僕は言葉を発した。


「まずは、名乗るのが礼儀でしょう。

それにいきなり女性の肌に触れるのは

良くないのでは?

それに彼女は僕の大切な人だ。

猶更許すわけにはいかない。

ジェイへのー彼への侮辱も許す訳には行かない。」

少し圧をかけながら言うが

男は怒りでそれどころではないようだ。


「貴様!貴様がジークフリードか!!

ただのガキが偉そうに俺に物をいうのか!!

大切な人だと?力もない癖に!!

ダンジョン攻略だってお前がそこの二人に

やってもらったから攻略できたんだろ!!

酒飲みの屑に無能なお前!

そこにエリスはふさわしくない

こいつは俺がもらってやると

言っているんだ!!」


何やら怒りで訳の分からないことを言っている男

ゾカ=グルブワ

グルブワ公爵家の息子で

カナンから貰った

要注意人物のリストに載っていた男だ。

こいつはディアブロとの関係もある。

正真正銘のクズだ。


ゾカの言葉に俺は

我慢していた感情を解き放つ。


ジークの周りには圧から発せられた

風が渦巻きパーティ会場全体に広がる。

息もできないほどに高められた殺気と圧により

耐えられない者は膝をつき。

テーブルのろうそくは消え

グラスは次々と割れていった。


「おい、、、。お前は今なんて言った?

俺の大切な人達に対して何を言った??」

どす黒い感情を表に出した声は

今までに発したどの言葉よりも低かった。


ジーク、やれ

大切な人を守るために。


応援いつもありがとうございます!!

フォローやレビューも

ありがとうございます!!

いつもうれしく見ております。

(応援、星、フォロー数など)


4月と言えば

卯月ですね。

干支の4番目と合わせて

4月は卯月と

呼ばれているんだそうだとか

(旧暦新暦での誤差もあり

あまり詳しくは説明できなくて

恥ずかしいですが。)


季節の変わり目は

体調に影響を及ぼしますので

皆様お体大事になさってください。



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