第22話 鏡乱の回廊(9)

空間から脱出すると

見たことない階層に僕たちはいた。


自然に出来たものとは思えない

石のテーブルや椅子の数々

奥の方から聞こえる

下品な笑い声と何かをしている音。


耳を澄ませ何をしているのか

確認しようとしたとき

近づいてくる気配を感じた。


ジークとエリーは構えようとするが

ジェイがマテの合図を手で行い

ジークとエリーは従った。


ジーク達のいる場所に

ディアブロの構成員と思われる男が入ってくると。


「ありゃ?あの人の使いですかい?」

少し驚いてはいるが

何やら疑ってはいない雰囲気のようだった


「あぁ、俺らあの人からの使いを頼まれたんだが

新人でな。何が何やら分かってないんだ。

教えてくれないか?」

ジェイは何とも言えぬ困ったような顔で

その男に尋ねた。


「あぁ、あの人は人使いが悪いからなぁ。

今のここはダンジョンの中だ。

何年も前からこのダンジョンの20層から

下には人がこれねぇ空間が

張ってあるらしくてよぉ。」


その男はぺらぺらと

とんでもない情報をしゃべりだした。

なんでも、その空間を作った奴は

あの人という人物らしく名前は分からない。

このダンジョン、鏡乱の回廊に

何かを探しに来ているみたいだけど

目当てのものが見つからずに

長期間探しているらしい。

探し物が見つかったら

あの人がモンスターを呼び出し

スタンピードに偽装し

ごたごたの隙に逃げる計画だった。

ディアブロの構成員の男は

ひとしきり計画内容をしゃべると。


「おっとそうだ。ボスにあわなせなきゃだな。」

三人の額から汗が垂れる。

このまま殺すべきか。

ボスに会って殺すべきかを迷っていた。

「分かった。ボスに会わせてくれ。」


ジェイが沈黙の中言葉を発すると

付いてきなと言い構成員は歩き始める。


三人は角の仕切られた区画を通されると

岩の扉で作られた部屋の前に立たされる。


「ボス、あの人の使いだそうだ。

中に入れてやっても?」

男はそう言うと


何も言わずに扉が開いた。

入れという意味なのだろうか

三人はつばを飲み込むと

扉の中に入っていった。


中に入ると書斎のような

棚や書類などが目につき

長く仕事をしていると見受けられる整理整頓がされていた。



「初めまして新人さん。それで?

ネズミが何か用か?」


不意の殺気に初動が遅れるが

ジークはそれを超える殺気で打ち消し

同時に相手の初動を抑えた。


ジェイが瞬時に

ボスと呼ばれている男のもとへ

移動すると首にナイフを押し付けていた。


「俺を殺しても無駄だ。

また新しいディアブロが誕生するだけだ。

あの人は影に潜るのがうまい。」

やはり、ディアブロの上に

何者かがいることが分かる。


「あぁ、そうかい」

ジェイは言葉を発すると同時に

ナイフを押し込んだ

ブシッと音が鳴り

血しぶきが吹き上がる。


「やっちまったけど。どうする?」

ノープランかいと言いたいが

そんなことを言っている時間はない。


索敵魔法を使い感知を試みるが

阻害されているのか

ノイズの走っている感覚

がジークに走る。


「ダメだ。人数は分からない。阻害ジャミングされている。」

エリーも同じことをしていたのか

不快そうな顔をしていた。


「面倒じゃない?さっきの魔法で一網打尽に―」


「「だめ(だ)(よ)!!」」

否定されるジーク。

ウィスもこのダンジョンを崩落させちゃダメ!

と訴えてきた。


「エリーの魔法で牽制しつつ

ジェイと僕で各個撃破に

するしかないんじゃない?」

少しむくれてジークが言う。


「それしかないよな。」

「扉を開けたら開始ね。」


扉を開けて

三人は飛び出した。


ボス部屋を改造したと思われる

広い空間の中

ジークはレヴィを握りながら

片手で魔法を発動した。


榴散砲撃スレイプニル


ジークの開発した。

地属性と火属性と無属性を合わせた爆裂魔法だ。

爆弾が爆発するような

衝撃と炎が燃え上がり

尖った岩まで飛び散る

広域殲滅型だ。

そんな魔法を受けた

構成員たちは騒ぎ出す。


「ジーク!!魔法禁止よ!」

エリーが叫ぶ


「まぁあ一回なら良いじゃねぇか!そらよっ」

ジェイは身体強化を発動しながら剣を構え

一気に降りぬいた

すさまじい剣圧と唯一使える無属性による一閃


絶ち穿つ一閃マーダーアダー


ジェイドの十八番だ。


ジェイの攻撃により

騒ぎ出した構成員たちは軒並み

胸付近から両断され

その数を一気に減らした。


「もう!!どうなっても知らないから!」

エリーも自棄になったのか

エリーは両手を前に出し

魔法を展開する。


その魔法を見て僕はぎょっとする。


「ジェイやばい!!壁ぎりぎりまで逃げて!!」

ジークとジェイは急いでダンジョンの壁

のギリギリまで体をつけ

魔法を待つ


「皆して好き勝手ばっかり!私だって!

何も考えずにやりたい放題したいわ!」

エリーの言葉と同時に魔法が放たれる


音粒子真空砲フォノンメーザー


瞬間空気が変わり

視界が少しぶれる。

これの厄介なところは

目で見えないことだ。

さらには威力を最大限にする為

範囲内は真空になる。

もし致命傷で済んだとしても

真空により即死は免れない。

エリーの衝撃から派生させた

振動の魔法そして雷や地などの魔法

正しくは合成魔法だが

実験中でもとんでもない威力を発揮していた。


「やばい、ホントに崩落するかも。」

ジークとジェイが見た光景は

ディアブロは跡形もなく消え去っており

ダンジョンの入り組んだ道や壁が無くなった

大ホールのような空間に変わった

ダンジョンの40層だった。


もう君たち何なの?!

強すぎるでしょ!!

エリーは意外と怒らせちゃダメなタイプですね。

(可愛いからすべて許すけど)

皆様のおかげで

小説フォローが300人に行きそうです。

本当にうれしいです。

ありがとうございます。




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