第20話 鏡乱の回廊(7)

ジェイド=ブルックナー


笑顔が綺麗でいつもニコニコしている彼女は

俺の心を和らげていた。

同じ配属になってから

歳が俺の方が上だということで

先輩と呼ばれるようになってから

仲良くなり。二人で騎士団を

引っ張っていこうと約束した俺たちは

いつの間にか騎士団長と副団長にまでなっていた。


あの時に思いを伝えなかったこと

それだけが心残りだった。


それは、ある日のことだった。

俺と彼女は別動隊で行動し

貴族からの情報提供で

賊の壊滅と未確認モンスター盗伐の

仕事をしていた時だった。


俺は騎士団の改革を進めようと

行動していたため

周りから反感を買いすぎた。

実力のあるものを

上に立てようとする

俺の考えは身分を尊重する

貴族からすれば

不満のはけ口になるに値した。


そのせいで彼女を失った。


貴族からの情報は

片方の場所がデマで

モンスターの使役をしていた賊が

拠点を構えていた事が本当の情報だった。


それを知らずに少数精鋭で侵入した結果

彼女の部隊は全滅

俺が到着した時には

無残な姿になり

血だまりの中に眠る彼女の姿があった。


あれから俺は自分を許せなかった。

あの頃の俺達にはもう戻れないんだと

あの時こうしていれば

あの時に戻れれば

そんな後悔がずっと俺の心を縛った。

付いてきてくれた部下は離れていき


全てに疲れた俺は酒に逃げ

彼女と夢を語り合った騎士団すら

いられぬ存在となった―。



エリーを助けてからジークは

ウィスの光に引っ張られ

歩いていた。


ある空間に入った瞬間から

優しく、寂しく、後悔の感情が強くなる

場所に入ったことに気づいた。


エリーとは違う空間に戸惑った

ジークは辺りを見回す。

空間のはざまにジェイが倒れているのを発見した。


ジークは急いで駆け寄り

「ジェイ!ジェイ!目を覚ませ!ジェイ!!」

体をゆすりながら声をかけた。


ジークが胸に耳を当て

心臓の音を聞くと

明らかに弱くなっているのが感じられた。


ウィスが世界樹の祈りをジェイにかけて!

と言ってきたので

ジェイが握っている世界樹の祈りを首にかけ

ジークはありったけの魔力と治癒

そして、言葉をかけ続けた。


「おい!!ジェイ!!起きろよ!!」

「ジェイ!僕のそばにずっと居るって言っただろ!!」

「ふざけんな!!こんな!!

とこで!!まだ、はえーだろうが!!」


魔力と治癒を掛けたジェイドに

変化が訪れる

世界樹の祈りが光りだしたのだ―。





『先輩?大丈夫ですか?』

優しくもはきはきした声は

俺の心を溶かしほぐしていく。


「まさか、もう一度会えるとは思って無くてな。」


『何言っているんですか?先輩?

私はずっとここにいましたよ?

私に見惚れてボーとしてたんですか?』

彼女の笑顔は本当にきれいで

ずっとここにいたいと思わせるには十分な力だった。


『先輩とはずっと一緒ですからね。

ずっと、ずぅっと!』

キャッキャッとしている彼女は

少女のようで、でも外見は大人びていて

ずっと見ていられる。


『ェイ!!』

不意に聞こえる若い男の声

周りを見ても俺と彼女だけしかいない空間。

『先輩??キョロキョロしてどうしたんですか??

変な先輩♪』

そんな彼女にも見惚れた俺だが

少し違和感-心を引っ張られる感覚がする。


『ジ、、!!僕、、、に、、、、ろ!!』

それから直ぐにまた聞こえる男の声。


『先輩?何か聞こえているんですか??』

頭をこてんと倒しながら尋ねてくる彼女。


『大丈夫。ここには先輩と私だけ。ね?

変なものが聞こえても私がそばにいますから。』

体をぎゅっと抱きしめられた俺も

返すように抱きしめる。


「あぁ、そうだな。ありがとう。」


『いえいえ、私と先輩はずっと一緒ですから!』

ニコニコしながら話す彼女に向け


「ありがとう、、、。なぁ、

ずっと伝えたかったことがあるんだ。

聞いてくれ」

?を浮かべ不思議そうな顔をしている彼女に


「俺はお前が好きだ。愛している。

これまでどんな女にも魅力を感じなかった俺だけど

お前が好きだ!愛している!」


『もう、変な告白しないでちゃんと言ってくださいよ!!』


「あぁ、すまん。俺はお前を愛している」

『ありがとうございます。先輩!私も―』


「だけど。

俺はジークのそばに行かなくちゃならん。

あいつと約束したからな。だからその時まで

ずっと待っていてくれ。イリア。」

そういうと、いつの間にか掛けていた

ジェイドの首飾りが光りだし


『やっぱり駄目だったかぁ。

私が先輩にはここに

居て欲しくなかったもんなぁ。

もう!その時、私なんて

しわくちゃのおばあちゃんになってますよ?』

イリアは残念そうに笑っていた。


「俺はそんなイリアも愛している。

それに俺もしわくちゃだ。」

そう言いながら俺はニカッと笑う


『先輩の頑固。ばーか。』


俺は光で消えかける体を無理に動かし

イリアにキスをして離れた。


「イリア、愛している。またな」


『ふ~ん、先輩の言葉になんか

騙されませんよ~だ!!

待ってる間にいい男作っちゃうもん!!』

べ~と口から舌を出す彼女に笑いながらも

意識が遠のいていくのが分かる。


離れた唇を再度塞ぎに来た

イリアは


『うそ。ジェイ、私も愛してる。待ってるね。』

はにかむ彼女の笑顔を最後に

俺の意識は途切れた。


一万PV超えました!!

皆様ありがとうございます!

(個人的にはすげー!!!

ひゃっほー!!って思ってます)


最近は読んでいただけることを

生きがいにしております 笑

フォローや星もありがとうございます!

面白くしようとして

グダグダにならないように

気を付けます。


何かありましたら

気軽に接してくださーい!!


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