第19話 鏡乱の回廊(6)

エリス=ベリクリン


『あなたは、本当に馬鹿ね』

姉から言われた言葉に

私は何も言い返せなかった。


あれからどれくらいの

時間がたったのだろう。


何度も投げかけられた言葉

魔法を使っても通用しない

私の心と体は少しずつ

疲弊していった。


『あなたは私のおもちゃ。

黙ってればいいの。

魔法しか才能のない。使えない妹。』



姉は昔から要領がよく

何でもできた。

妹の私はついて歩き

尊敬している人だった。

あの時が来るまでは―。



私が姉の講師から

魔法を学んだとき

講師の驚いた顔は今でも忘れられない。

どうやら私は魔法の才能があったらしく。

姉よりも魔法が得意だった。

これで姉の力になれる。

そう思い魔法にのめり込んでいった。

黒い感情に気づかずに。


ある日、両親から呼ばれ

私は両親のもとへ向かった。


両親のもとに行くと

左頬を衝撃が襲った。


なんで?


父親が私をはたいた理由が見つからず

混乱しているとき


「なぜ、魔法を人に撃つなど危険なことを続けるんだ!!」

さらに混乱するような言葉が突き付けられた。


両親の後ろに隠れている姉の姿を見つけると

口角がいやらしく吊り上がり

笑っている姉がいた。


この時私は初めて

姉に騙されたのだと気づいた。

それから何回も同じことが

どこに行っても続く生活は

苦痛だった。



「また、私をおとしめるのね!」

昔の記憶がよみがえる中

私は訴える。



『当り前じゃない。私より上なんて

許されることじゃないわ。

あなたは下なの。いつまで経っても

これから先も。』


姉はジークにしな垂れかかりながら言った。


『エリス、お前とはここまでだ。』

ジークが剣を構えている。

私には避ける気力がすでになく

魔法で防ごうにも

瞬時のことで体が固まっていた私は

その剣を受け入れるしかなかった。


ジークの剣が私へと落ちる瞬間

まばゆい光と同時に

ガキンッと金属同士がぶつかる音がする。


「間に合った!!ありがとうウィス!」

優しさであふれた顔をした

愛する人がそこにはいた―。


ジークが空間をくぐりしばらく歩いていると

エリーの叫び声、すすり泣く声

悲しんでいる声が聞こえた。


首にかけているネックレスが光ると

ウィスが急いで!早く!とせかしている

感情が伝わってくる。


ネックレスにひっぱられるように

走り続けた。


走り続けていながらも

有象無象に邪魔をしてくる影を

切り倒しながら


三人の影を見つけることができた。

一つはエリーもう一つは僕のニセモノ

もう一つはエリーによく似た女性だった。


僕のニセモノが剣を振り上げ

今にもエリーを切ろうとしていたことに気づき

全身で止めに入る

ガキンッとする音が聞こえたことで

防ぐことができたのだと安堵するジーク。


「間に合った!!ありがとうウィス!」


そう言いながらもすぐに

ニセモノとエリーに似ている何かを

胴体から切り飛ばす。


切り飛ばした二つの何かは元の二つと

合わさりエリーによく似た女性になった。


『なぜだァ。なぜここにコレルゥ。

あり得ない。アリエナイゾオオオオオオオ。』


叫び声が醜く大きくなる中

僕はエリーを片手で抱きしめ

エリーに尋ねた。


「待たせてごめん。エリー。

大丈夫だった?」

エリーの顔は憔悴しきっていたが

抱きしめている僕を見ると

首に顔を近づけてきた。


「ジーク。ありがとう。もうだめかと思った。

来てくれてありがとう。」


「僕の方こそごめん。

間に合ってよかった。」

ぎゅっと抱きしめている

片手に力が入ると

んっと少し艶っぽい声を出したエリー。


「あれは誰??」

僕はエリーに問いかけると


「私の姉よ。何でここにいるのか

はわからないわ。」

元気のなさそうな声で話すエリー


『なんで、私よりそっちを選ぶのォ?

私の方が他のことは何でもできるのよォ?

なぜ、なぜなのよぉ!!!』


「僕は魔法が好きなエリーが好きなんだ。

何でもまっすぐで、失敗しても

何度でも挑戦するエリーが大好きなんだ。

あなたのような持っているものをひけらかす人には

興味がない。」


『ナンデぇ、コンナ、こンなことォぉ!!」

段々と姿が変わっていく女性は

既に人の形をしていなかった。


レヴィを振るおうとするが

エリーに手をつかまれ


「私も一緒にやってもいいかしら?」

僕に問いかけてきた。


「うん、わかった。」

「ありがとう。ジーク。ここで決別するわ。」

そういうとレヴィを持っている手に

エリーの手が重なる。


「エレナ。あなたはすごいわ。でも

私だってすごいのよ?」


エリーの魔法の力なのか

光りだすレヴィをジークは振るった。



『ナンデダぁ、コンナ、コンナコトガァアアアアア。』

黒い塊は光により消え去った。


「エリー?大丈夫?」

エリーは足から力が抜けたように

崩れると

「私のところにはまた戻ってこれるんでしょう?

今はジェイドを!!」

エリーの体のジェスチャーで行って

と言われた気がした僕は


ジェイがいると思う方向に

ネックレスが引っ張られ

急いで向かうのだった。


皆さんは自分と同じ人を

見たことはありますか?

筆者はないです。

この世界には3人同じ人?

そっくりさん?がいるというのですが

会ってみたいですね。


応援してくださっている皆様

見ていただいている皆様

ありがとうございます。

嬉しい限りです!


フォローや星等

していただいた方

ありがとうございます。

今後も頑張ります!



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