第18話 鏡乱の回廊(5)

ジークフリード=アルカナイン


ルミエラから貰った世界樹の祈りが輝きだし

しばらく経ち目を空けると

僕の横には知らない男がいた。


『坊主、自分を見失うな。決めたことを曲げるな』

僕の肩に手を置くとニカッとした笑みを浮かべる。


『お前さんは何をするって決めたんだ?』

男の質問に僕は口を開く

「有象無象になんて思われようとも

どうだっていい。悪だと罵られようが

僕は僕の大切だと思うもの。

それを守るためなら何だってする。」


『たいそうな野望だ。気に入った。』

男は片手を光らせたと同時に

僕の右手に持っているレヴィルエクスを触った。


『ルミエラに感謝しねーとな。あいつの事だ

御守りかなんかだと渡されたもの、あんだろ?』


「世界樹の祈りだって、ルミエラさんは

言っていたけど。」

僕の首に掛かっている御守りを左手の掌に乗せる


『はは!アイツめ。分かっていてやったのか?』

何やら男は愉快そうに笑いながら言った。

『それはここを抜けたら、仲間の元へ

導いてくれる。もしかしたら

また俺とは会うかもな』

男のレヴィルエクスを触る手が段々と光だし


『お前さん、名前は?』

眩しくて目を細めていく僕に尋ねた

「ジークフリード=アルカナインだよ。

あなたは?」

僕も尋ねた。

『アルカナイン、、、か。そうか。お前さんが。』

男は僕の質問に答えることなく

『お前は悪になろうが

どうなろうが大切な人達を信じろ。

そして守れ。俺はお前さんが

正しいと思っている。突き進め。

勝者こそ正義だ。敗者は悪たりえる。』

光がどんどんと強くなり僕は目を閉じるー。


意識がハッとし

ジークは目を開けると先程のままだった。


また、先程から続くように

僕のニセモノは言葉を続けている。


「もう、効かないよ。これからどれくらい

長い時間続けようが。

どんな光景を見せられようが。僕には効かない。

未来を変えるため、僕は自分を信じる。」

僕の言葉を受けたニセモノは

僕の心の状態が分かるのか

どこかおかしくなっていった。


『なぜ?なぜだナゼダナゼダ。

黒くナラナイ??オレはオマエ。

オマエハオレデ。イヤダ、ユルサレナイ。』

そういいながら力を集めているのが分かった。

ニセモノのジークはボコボコと形を変えようとしていた。


レヴィルエクスが光りだし

今だよ!やっちゃえ!と言っている。


僕は光り輝くレヴィルエクスを振るった。


『イヤダ、イヤダ、イヤダァァァァァッァァぁァ』

異形の姿をしたナニカは光とともに消えてなくなった。


光が消えた後ジークは薄暗く

部屋のような一室に居た。

よく見ると目の前の岩の壁には

切り込みが入っており隠し扉のような

ものだと見て分かった。


「抜けれたのかな?でも、なんかおかしい?

まだ終わってない?」

あたりを見渡すとジークの後ろにある

腰まで伸びた四角の石柱に気が付く。


その石柱の先端は

斜めに切り取られ真ん中には輝く宝石が

埋め込まれいていた。


「もしかして、アーティファクト??」

ジークは死せる英知の結晶を見つけたのだ。


ジークは自分の予想していた展開とは異なり

少し驚いていた。


え?ディアブロはいない?

本当にこの結晶がやっていた??

どういうことなんだ?

ジークはいろいろな考えを巡らせながらも

惹きつけられるように石柱まで歩くと

結晶を触った。

レヴィルエクスから感情を受け取った感覚と

似た感覚-それよりも鮮明な感覚が

ジークに伝わる。


「そうか、、、。君は怖かったんだ?

僕が近づいてきていたから

離れてほしかったんだ?」


そういうと返答をするように

結晶は輝きだした。


「え?僕のせいじゃない?違うやつが怖い?

巻き込んでごめん?」


結晶は先ほどより強く光りだすと

きらきらと粒子になり僕の周りを

くるくると回り首にかけていた

世界樹の祈りの中に吸収されるように

入っていった。

吸収をした世界樹の祈りはきらきらと輝くと

四角の木の素材から

ひし形のきらきらした素材になった。


「そうか。ウィストゥラっていうんだね。

君が死せる英知の結晶なのかな?

ん?たぶんそう?ウィスって呼んでほしい?」

レヴィルエクスの時とは違い名前を教えてくれた

ウィストゥラは呼ばれたい名前も伝えてきた。


「え?レヴィって呼んでほしい?」

レヴィルエクスが急に出現し僕の周りを回りだす。

レヴィはどうやら悔しいようだ。


「わかった。これからよろしくね。」

二つのうれしい感情が僕の心に伝わる。


「エリーとジェイは大丈夫かな?

世界樹の祈りが案内してくれるって

言っていた人がいたけど

ウィスが入って変わっちゃった。

どうしよう。」

僕が困っているとウィスが大丈夫!任せて!

と言ってきた。


隠し扉が音を立てて開き

目の前に黒い次元の空間のようなものが

出現する

「これに入ればいいの?」

そういうとウィスがそうだよ!と伝えてきた。


「待っていて二人とも。今助けに行くから。」

黒い次元の空間をジークはくぐったー。



ジークが空間をくぐりしばらくした後。

岩の扉が開き一室に入ってくる人影。


「あーぁ、先にとられちゃったか。

でも誰がここまで来れたんだろう?

やっと開いたのになぁ」

黒いフードを被った者は石柱を見てそう言った。


「せっかくディアブロの本体たちまで連れてきて。

時間稼ぎまでして探してたっていうのに、、。

もうここには用がなくなっちゃったな、、。」


そういうともと来た方へと体の向きを変え

「さっきの強力な力を放った人たちかな?

僕の力から抜け出した人もいるみたいだし、、。

どうやったんだろ??

せっかくこのダンジョンに合わせて作ったのに、、。

面倒は勘弁だから。

ディアブロに責任を擦り付けて僕は消えよう。

ディアブロはいい隠れ蓑だったのにな、、、。」


岩の扉をくぐり姿が消えた者は

もうこのダンジョンにはいない。


アーティファクト入手!!

死せる英知の結晶=ウィストゥラです

ウィストゥラってウィストゥラちゃんって感じしません?

感じない?そうですか、、、、。泣


フォローや応援

ありがとうございます。

筆者の最近驚いたことは

理科室の椅子に背もたれがついていない理由

を初めて知りました。

事故が起きた時

すぐに回避できるように

するためなんですって!!

え?知ってた?そうですか、、、、。泣





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