第17話 鏡乱の回廊(4)


ジークフリード=アルカナイン


視界が揺らぎすべてが黒に塗りつぶされた空間で

ジークは立っていた。


体は動かせる。歩けもする。

だけど変わらない黒い空間。


「僕の責任だ。二人は大丈夫かな。」

僕の発動した魔法のせいで

こうなってしまったことを

後悔していた。


『おい』


急な声にレヴィルエクスを構え

声のする方を向くジーク

次の瞬間には真っ黒だった空間は

真っ白にかわり

急なまぶしさにジークは目を閉じた。

少しして目を開けると

灰色のもやもやとした―人の形をした

影が立っていた。


「君はだれ?」

僕は尋ねた。


『俺はお前だ』

影はそう言う。



「ここから出してくれないかな?

二人が心配なんだ。」


『それは無理な相談だ。お前は俺だ。

俺が行きお前は残る。』


「君は僕じゃないよ、僕は僕君は君だ。」


『違う』


声が違う方から聞こえ声のした方へ向く僕


『俺はお前』

そこにはジークの姿をした何かが立っていた。


『何もできず』『間違いを犯し』『無力な』


「『俺だ』」



不意に出た言葉が僕と何かで重なる。

咄嗟に

「違う!僕は僕だ。」



『なら、なぜお前は間違いを犯す?』

『すべてが見えているはずなのに』

『使えない』『役立たず』

『未来から目を背ける』

『『愚か者』』


「違う!僕だってちゃんと、考えて―。」


『考えて、どうなった?』

『俺はなにをした?』

『仲間を危険に晒した』

『俺はなにをした?』

『やらなくていいことをした』

『俺はなにをした?』

『みんなに隠し事をした』

『俺はなにをした?』

『無駄な努力をした』

『俺には何がある?』

『何もない』


『俺はなにができる?』


「俺は何も出来ていない。」

俺の心に黒い何かが住み着いたー。


『お前は何も出来ない。』

『失敗した。』

あれからどれくらい時が経ったか分からない

何時までも続く否定の言葉や黒い感情に

精神を蝕まれていた


『未来は変わらない。』

そう言うと


目の前には僕の中の記憶を読み取ったのか

笑顔を貼り付けた父上の処刑の映像や

処刑前だと言うのに

何も言わずこちらに気づきを僕を見ている母上

裏切り、主人公の隣で少し笑みを浮かべるルイス

苦悶の表情を浮かべる使用人たち

ゲームでの記憶が目の前に実態となって

僕の心を黒く染める。


「そうだ、未来は変わらない。

意味なかったんだ。」


諦めかけたその時

世界樹の祈りが輝き出したー。



エリス=ベリクリン


ジークが消え

ジェイドが闇に飲み込まれたあと


私は気づくと灰色の空間にいた。



『本当に愚図ね。魔法しかできない

のろまで、つまらない、冷めた人間。』


声のする方へ振り替えると


「姉さん、、、。」


一番会いたくない人がそこにいた。


『あなたはジークに何をしてあげれているの?

私の方が大切にできるわ。』


私の姉の横にジークが現れる。


「ジーク!!」


『こんなことも

まだあなたはしていないんでしょう?』

ジークの首に手をかけると

淫らなキスをしだした。


「止めて!なんで、、、。ジーク、、、。」


『エリス、君から教わることはもうない。

魔法しか取り柄のない女はもう用済みだ。』


「嫌だ、嫌だよジーク!!なんで?!

姉さんとどこで知り合ったの?!」


『ふふふ、本当にあなたは馬鹿ね。』


姉の言葉が私の心にひびを入れ始めた。



ジェイド=ブルックナー


ジークが消えた後

俺は闇に飲まれた


目を閉じてしまっていたと思い

ハッと目を開ける


『先輩、大丈夫ですか?』


そこにはかつて失った部下が

首をかしげながらこちらを見ていた。


「お前、なんでここに。お前は、、、。」


『先輩?いつもの

団長と呼べって言わないんですか?』

ニコニコして微笑む彼女は本物に感じる。


『団長?ホントにどうしちゃったんですか?』


俺は彼女を抱きしめた。


「よかった、、、。よかった。」


『わわっ!ホントにどうしちゃったんですか?』

彼女は腕をバタバタさせる。


『団長?私はずっといますよ?

だから団長もずっとここにいましょうね?』

その笑顔の闇にジェイドは気が付かない。



自分との向き合い方って人それぞれですよね。

教えてもらうこともあれば気づくことあったり。

気になる二人の名前は近々


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