第16話 鏡乱の回廊(3)

ジークの放った魔法の後

目の前には悲惨な状態が広がっていた。


「ジーク、、、、、お前。」

ジェイは頭が痛いのか

首を斜め横に倒し手で抑えていた



「ジーク!!なんでそっちを使っちゃうの!!

 おかげでとんでもないことになっているわ!!」

後ろから走ってきたエリーに


「まさか、こんなことになるなんて、、、。

崩落しなくてよかった。」

ジークは驚きを隠せなかった。


目の前の床から先は

光の雲の範囲分の大穴が開き

3層下のダンジョンの床が見える状態だった。


「ま、まぁ、短縮になったから良しとしない?、、、、本当にごめん!!」

ジークは二人を見るが。


「「ダンジョンごと

消し飛ばす気(なの)(か)?!」」

二人から怒られるジークだった。



「ったく、とんでもねーな。」

大穴を覗いた後ジェイはジークを見る


「崩落しなくて本当によかったわ。」

自分の体を抱きしめながらエリーは

ジークを見る。


「と、とりあえず、9層まで

行けるようになったから行こう!

次はボス戦なんだよね!」



「「はぁ」」

二人のため息はジークには届かなかった―。



大穴に集まった三人は

これからどうするか話し合っていた。



「まずは俺が下りる。

ジークは俺と同じで身体強化を使えるから

エリスでもおぶってやって

一緒に降りてやればどうだ?」

ジェイはニヤニヤしながら僕を見る。


「なぁっ?!ジェイド!!

ここはダンジョンなんですよ?!

ふざけている場合じゃありません!!」

エリーはあたふたとしだす。


「僕は構わないよ?エリーがよければだけど」

僕はエリーのほうを向いた。


「嫌とかそう言うんじゃなくてですね!!

お、重いかもしれませんし!!その!!あの!!」


「早く来いよ?」

そう言いながらジェイは下へと降りて行った。


「エリー?いい?」

僕はエリーに問いかけるが

「ちょ、ちょっとだけ待ってください!!」

胸に手を当て深呼吸をするエリス。


落ち着いたのかエリーは僕のほうを見て

「お願いします。ジーク」

目をつむっていた。


このままじゃ背負えないよエリー

僕はそう思いながら

抱きしめるように腕を回しお姫様抱っこをする。


「ふぇ??」

目を見開いたエリーは

見る見るうちに顔を赤くしていった。


「降りるから何かあったら言ってね」

僕はエリーにそう言うと

大穴から飛び降りた。


降りた先でジェイと目が合うと

ニヤニヤした顔で


「なんだぁ?本当に一緒に降りてきたのかぁ?

エリスは魔法使えんだから

一人でも降りられるだろ?」

確信犯的発言をした。


エリーは湯気が出るほどに赤くなり

気づくとジェイに魔法を飛ばしていた。


「ちょっ、おまっマジになんなよ!!

シャレになんねーぞ!!」

魔法をよけながらジェイは焦っていた。



しばらく魔法の連打が続き肩で息をしているエリー


「落ち着いた??」

僕はエリーに語り掛けるが

エリーからの反応がない。


「きゅうぅ」

エリーが倒れそうになったため支えようとするが

見方によっては抱きしめる形になっていた。


「何やってんだ?お前ら。」

ジェイはやれやれといった感じで

こちらを見ていた。


エリーがしばらくして落ち着いた後


「ボスの詳細の報告はないんだよな?

さっきのモンスターを見るに

報告書はあてにしねー方がいいかもしれねーな。

場当たり的だがその場その場で

対処するしかねーな。」


「でも、なにか、変よね。報告書も

載っていてほしいところが抜けているわ。

明らかに五回の探索を終えた報告書じゃないわ。」


ジークは二人の言葉を聞きながら考えていた。


僕のゲームの知識だけでは足りない部分が多い。

だけど、ずっと引っかかっている事がある。


未知のモンスター、21層に降りれない原因と

精神の錯乱

ずさんな報告書、ルミエラの言葉。

本来のダンジョンとは大きく違っている?


自分を映す鏡だと言ったルミエラ。

それだけで精神の錯乱を起こすものか?


試練のようなものだと思っていた。

本来のダンジョンに手が入れられている?

錯乱だけか?

記憶障害や改編など行われていたら?

それを可能にするには?

何かを隠すため?

ダンジョンに来させないようにするため?

誰が?


スタンピードが起きた後に

ディアブロが居た描写はゲームであった。

ゲームではそう。


だけど本当にそうなのだろうか?

僕は父上を信じている。


慌ただしい中こそ父上は警戒を強めるはずだ。

なぜだ?見落とし?違う。考えられる結論は―。


「二人とも、僕は前世の知識に

頼りすぎていたかもしれない。」


エリーとジェイはこちらを向くと

僕の言葉を待っていた。


「ごめん、二人とも。

前提条件がすでに違うかもしれない。」



「ディアブロは既にこのダンジョンにいる。

急いだほうがいいかもしれない。」



「どういうことだ?なぜそう思ったんだ?」

ジェイは疑問を素直に口にする。



「僕が父上を信じているっていうのもあるけど。

ディアブロの監視を今ほどでないにせよ。

監視していたはずなんだ。

スタンピードが起きた時こそ

注意を払うべきじゃないかな?

そう考えると、スタンピードを起こしたのは

ディアブロの可能性が高い。

既に居るんだ、このダンジョンにディアブロが。

アーティファクトを既に手に入れている

可能性がある。

今の僕にはそうとしか思えない。

さっきの魔法でもしかしたら

気づかれてしまったかもしれない。

本来のダンジョンを変える術を持っていたら

確実に行動を起こしてくる。」


不意に高周波の音が響き渡り

ジークの視界がぐにゃりと曲がりだす。


「エリー!ジェイ!これを!!」

ボックスから世界樹の祈りを出し急いで投げた。


「分断される!絶対に自分を信じて!

僕も負けない!!だから―」


ジークの視界は黒に染まった。


ジェイ!グッジョブ!!

さすがはジェイだ!!

エリー可愛い!いいぞもっとやれ!

ジーク!そこ代われ!


小説フォロー200人突破しました!!

皆様ありがとうございます!!

今後とも悪リラをよろしくお願いいたします!!

星やコメントも

どんどん募集中です!!

よろしくお願いします。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る