第11話 おいおい、ごめんて


「鏡乱の回廊か~。

ほかのところかなと思ってたのに。

そこまで行っちゃうのか~」

ジーク達に向けカナンが珍しくうなっていた。


「父上、お願いします。」


「う~ん、、、、何かあるんだね??」

困り顔から一転真面目な表情で

カナンはジークを見つめる。


「はい、憶測の域を出ませんが

アーティファクトがある可能性があります。」

(本当はゲームの知識だけど

これまでもそれで解決したことはあったし。

大丈夫だろう。)

ジークはこれまでを思い返し。

行けるだろうと思っていた。


瞬間

ものすごい圧力が体を襲った。

ジーク以外の二人は少し汗をかいており

息も乱れつつあった。

言葉を発したのはカナンだった。


「ねぇ、ジーク。この際だからはっきりさせたい。

僕の息子はどうやって

情報を手に入れているんだい?

この前のことと言いこの一年間

僕の息子は普通に生活しているだけだ。

情報を探るそぶりを見せない。

なのに、周りを知っている。

いや、知りすぎている。

どうしてなんだい?

何を隠しているんだい?」


急なことで理解が追い付かず

また、圧力を掛けられたことで

反射的に抵抗する様に

「じゃあ、どうすればいいんだよ!!

俺だけが知っていること。

未来を知っていること。

相談して、信じてもらえるか

わからないんだ!怖かったんだ!

失いたくないんだ!!

離れていくのが怖いんだ!!」

ジークは咄嗟に話してしまっていた。

この世界を見ていた前世の自分の記憶

これから起こりうること。

自分たちの末路。

それを回避するために知識を使ったこと。

申し訳なさもあったが

家族や大切な人たちを無くさないためなら

何でもすると決めたこと。


「やっと言ってくれたね。

なんとなくその可能性は考えていたよ。

あまりにも見えすぎている。

最初は能力の類かとも思ったけど。

僕はジークを信じて正解だった。

苦しめちゃったね。

ありがとう、ジーク。」

カナンは優しい顔でジークに向いた。


徐々に徐々に圧力がなくなっていき

エリーとジェイはよろめいた。


「ごめん。父上。

でも、家族を大切な人たちを守りたかった。

許せないんだ。そんな話は。

僕は、そんな未来は許せない。

僕がそんな未来を許さない。絶対に。」

ジークはうつむき今まで蓋をしていた感情が

爆発し、涙を流した。


「いいんだよ。手荒な真似をして悪かったね。

どうしても、今のジークには知ってほしくてさ。」父上は僕の近くへくると肩に手を置き


「大切な人達を守りたいならさ。

大切な人達を信じてあげなよ。私たちをさ。

一人で戦おうとするんじゃない。

置いてけぼりにされたら

残された方は悲しいんだ。」

悲しいような慈愛を帯びた顔を向けるカナン


「ごめん。エリー、ジェイ。」

ジークは二人に向け謝った。


「ったくジークも考えすぎなんだよ。

この親バカと一緒だ。腹黒親子が。」

「最初はびっくりしたけどジークはジークよ。

あなたがしていた努力を私たちは見てる。」

二人はジークを見ながら微笑みかけた。


「最近のジークは

少し焦っているように見えたからね。

周りも見えていなかったし。

少し周りに線を引いている気がした。

そして、このままだといけないと思ったんだ。

鏡乱の回廊の件は話を通しておくよ。

アーティファクト関連なんだよね?」

優しい声に戻ったカナンはジークに問いかける。


「うん、鏡乱の回廊には

死せる英知の結晶があると思って。

それを手に入れておきたいんだ。」


死せる英知の結晶―数々の知識を宿した結晶

触れるだけでリストが浮かび

選択することでその知識がインプットされる。

学んだり読んだりする必要が無い

破格のアーティファクトだ。

この結晶がディアブロに渡ったことで

よくないことが起き始める。

これはアフターストーリーで一部の描写があった。


「ディアブロが来るのはまだ先なのかい?

監視など強化しているけど動きはないよ。

領地に入った報告もないみたいだ。」

カナンは紙を見ながらそう言った。


「うん、ディアブロが来るのは

あと半年は先だし。

今行く理由はもう一つあるんだ。

半年後に鏡乱の回廊でスタンピードが起こる。

そこにディアブロはやってくるんだと思う。

混乱に乗じて。

どうやって見つけたかはわからないけど

その時鏡乱の回廊で見つけているんだと思う。

スタンピードが起こる原因も

詳しく知らないから見に行きたいんだ。」

つきものが落ちた顔でジークは語り掛ける。


「よし!いい顔だジーク。

装備などそろえていってきなさい。

今のジークにエリスちゃん、ジェイだったら

大丈夫だ。

明日にでも入れるよう手配しよう。

頑張ってきなさい。そして、知らしめるんだ。

ジークフリード=アルカナインの力もね。

これも大切なことだからね。

最近、貴族どもがうるさくてね。

ジークを社交場に出すのは

12歳になってからだと言っているのに。

早く見せろとうるさいんだよ。

さらには、噂が飛び交っているほどだから

ほとほと呆れるよ。」


カナンはそう言うとジークを抱きしめた後

席に戻り。

こちらをニコニコと見つめていた。


「父上、ありがとうございます!行ってきます!」

ジークは頭を下げた後

エリーとジェイを連れて書斎を離れたー。






書斎にいるカナンは報告書に目を通しながら

「ジークの話、僕の予想通りだとすると

もしかしたら、、、。」

自分の考えをまとめていく。


あらかた考えがまとまったのか

少しして

「ジーク、いい顔になったなぁ。

流石、僕と彼女の息子だ。

変化を受け入れ、自分を変えることができる。

それは才能だよ。僕にはない。

前世の記憶のおかげかもしれないけど

自慢の息子だ。」

ぺらぺらと音を立てる紙と

「気づいてくれよ。ジーク。

これはこの世界の君に対する試練でもあるんだと

僕は思っている。

君になら出来ると信じているからね。」

カナンの独り言しかない。



カナン怖いよ。こいつ何者なの?!

サラッとジークの本音など聞きだしたカナンは

落としのプロだね。

フォローやレビュー更にはギフトまで

ありがとうございます♪

初めての小説レビューコメント

初めてのギフトを頂きました。

(ギフトが何かはまだ分かってません 笑)

テンションが上がりすぎて

扉に小指をぶつけました。

あれ、地味にめちゃくちゃ痛いですよね。

皆様もお気をつけください。

皆様本当にありがとうございます♪

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