第4話 合鍵

最近、私が他の友達と遊んだり…話したりしてると深冬はどうにもそれが嫌みたいで、少し苦労している。


現に今も深冬は拗ねて私に全く返事をしてくれない。


「深冬、何でそんなに拗ねてるの…?」

「……別に、拗ねてない」


口ではそう言ってるけど、明らかに様子は拗ねてる感じだし…そもそも普段ならもっと私にベタベタだから絶対拗ねてるな。


そう思って、少し膨れてるような気がするほっぺを少しひっぱっていじわるをした。


「な、何すんの…日彩」

「深冬理由も言わず拗ねてるからだよ?ほら…理由言ってごらん?」


理由も多分でしかないし、そろそろ拗ねてる理由くらい教えて欲しい、場合によっては改善の余地もある訳だし。


「……日彩、私に全然話しかけてくれない癖に他の人にはよく話しかけてるから…」


まぁ、案の定…嫉妬なわけだけど、確かによく考えたら私から話しかける事はあんまり無いかもしれない…でも、深冬には友達以上の事をしてあげてるんだけどね?


「でもさ、深冬には普通の友達にしない事も沢山してあげてるんだし…良くない?」

「それはまた話が違う…」


これは…しばらく拗ねたままで、少し面倒だ…どうしたら機嫌治してもらえるもんかね…そうだ、良いこと思いついた。


「ならさ、深冬にはに…私の家の合鍵あげる」

「え…ほ、ほんと?でも…どうして?」

「深冬がこれから寂しがらないようにいつでも家来れるために渡しとく、これなら…学校で話さなくても大丈夫でしょ?」


深冬は嬉しそうに私の家の合鍵を受け取って、まるでプレゼントでもされたかのような反応をしててとても微笑ましい。


我ながら名案だと思う、私一人暮らしだし深冬にならまぁ…渡してもいいかな?でも…いつでもとは言ったものの…流石に毎日は来ないで欲しいな。


「ほんとに、いつでも行っていいの?」

「まぁ…いいけど、バイトの時間とかは居ないからね」

「うん…その時は待ってる」

「…別に待ってなくてもいいよ?」

「……いや、待つ」


……まぁ、いいけど…疲れて帰ってきてから深冬の相手をするのは少し疲れそう…そこら辺深冬なら気遣ってくれそうだから…まだいいけど。


「そろそろ…教室戻る?」

「まだ…もう少し、一緒に居たい」

「そっか、なら少しだけね」


少しと言ったけど結局私と深冬は結構長く居たからほんとにギリギリチャイムに間に合った。


ギリギリは流石に良くないから…これからは、ちゃんと少し前には教室に着けるようにあんまり甘やかさないようにしないと。

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