第7話 案山子
最後まで読み切った。
あの人は本当は俺を引き取りたかったらしかった事。
しかし、相手の男が病気でどうにもならなかったらしいこと。
そして、、、。
何度も何度も、施設の俺をこっそり見に来ていたこと。
俺、思い出した。
学校の帰り道やらで、声をかけてきたおばさんがいたことを。
あれが、あの人だったんじゃねぇかな。
だとしたら、まるで、別人じゃねぇか、、。
痩せて、顔色の悪い、髪の毛なんか輪ゴムで結んでた。
黄ばんだ白いブラウスと地味な茶色のスカート、ズツク靴だったなぁ、、。
俺は頭の奥で忘れてしまおうとしていた記憶を呼びましていた。
相手の男が死んだあと、長い間の無理があの人の体と精神を蝕んで国からの支援でひっそりと
暮らしていたらしい。
なんで、俺のところに来なかった?
俺に罵倒されるのが怖かったのか?
そりぁ、そうだな。
こんな事があったなんて知らなかったら
俺はやっぱり、、、。
そういやぁ、あのおばさん。
「坊や、学校は楽しい?
お友達はいるの?
おばさんにも男の子がいるのよ。
かわいくてね。ちょっと坊やに似てるかな。」
そう言って、チョコレートをくれようとしてた。
俺、気持ち悪くて、おばさんの差し出したチョコレートたたき落として走って逃げたんだった。
あれから、おばさん、見なくなったような。
俺があの人を捨てたのかもしれねぇな。
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