第6話 ごめんね

読みはじめは、なんだかくだらねぇ

三文小説を読む気分だったんだ。


あいつとあの人が結婚して、俺が産まれた。

あいつの悪い癖が出たんだな。

女ができるといなくなっちまう。

あの人は、鉄工所の事務で働いてたんだ。

思い出した、時々、遊びに行ってたっけ。

おじさん達が可愛がってくれたな。


そんなこんなであいつは女と別れては帰ってきて、また、いなくなるの繰り返し。


あの人にも鉄工所に出入りしてた男と

できちゃったって訳か。

あるあるだな。

そう言いヤァ、遊園地に弁当持って行ったのは

その男だったような、、。


そしての離婚か。

ううん?


離婚の時にあの人は親権を主張した?

それをあいつが拒否した?

あの人が家を出ていった日、俺は探したんだ。

泣きながら、あの鉄工所も行ったんだ。

何日も、何日も探した。

俺は捨てられたと思ってた。

そうか、あいつが俺を渡さなかったんだ。


あいつとの暮らしは酷くて、結局はあの人が

俺を施設に入れたと言うことか、、。

やっぱり、捨てたんじゃねぇか。


なになに?

その頃、相手の男性は癌を患って働くことができず、あの人は生活と入院費を稼ぐ為に

昼は弁当屋、夜はスナックで働いていただって?

酔うと、子供の名前を呼んでは「ごめん、ごめん」と泣いてたとその頃の知り合いが証言している。


ふぅ〜。

俺はタバコを火をつけた。

俺はこれが自分に関係してる話だと受け止めきれないでいた。


俺、子供だったんだな。

何にもしらねぇ、子供だったんだな。


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