第5話 The Rose
「おーい!
エロカッパー!元気かぁ?」
「馬鹿野郎!
これは、ショーン コネリーなんだよ。
ショーンと呼べ!!」
「何いってやがるんだぁーー。
おい、コーヒー奢れ!」
「暇じゃねぇんだよ。俺はよ。」
「なーに?
ただ、椅子に座ってたじゃねぇかよ?」
「うっせぇ。
頭の中は星飛雄馬の大リーグボール並みの
豪速球で働いてんだよ!」
「わかった、わかった。
まっ、そうだとしてやる。
コーヒー行くぞぉー。」
行きつけの喫茶店のいつもの席にどかりと座る。
「おい、探偵はどんな結果を持ってきたんだ?
俺にも聞く権利はあると思うぞ。」
「しらね。」
「しらねって、、、。
お前、調べたの、読んでないのか?
なんで?」
「あのよ、今更、それを知ってどうなるってもんじゃねぇと思わないか?
向こうだって、何にも言ってこないって事は
会いたくないってか、忘れちまってるんだろ?
違うか?」
「、、。
そうかな。
俺、家庭をもって、子供もできたろ。
子供を手放すってのは、親は親なりのよ。
事情ってもんがあるような気がするんだ。
甘いかもしんねぇけどよ。
そこんとこを知りたいって思わないか?」
「だけどよ、親の勝手な都合だったらどうなんだ?
俺は残酷な知りたくもない事実を知るんだよな。」
「確かにそうかもしれんな。
けどよ、この歳だ。
自分に何があったのか?知らないままでいいのか?
探偵が調べてもわからなかったんなら、
しょーがねぇ。
でも、わかったんだろ?
穴空いてんだろ?
うまんねぇぞ。」
俺は悪友と別れたあと、奴の言った言葉を
繰り返し思い出していた。
あいつの言うのも一理あるよな。
このまま、封筒をしまっていたって
その存在を忘れる事もできそうにない。
くそっ。
俺は清水の舞台からぶち落ちる気持ちで
封筒を開けた。
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